サミット宅急便2
次はノートルダム。
ここは比較的マトモな国だ。
「福田君! 待っていたよ! ありがとう! ありがとう!
ようやく、俺も島に行ける! 素晴らしい!」
「え~と、落ち着いて。で、もしかしてホウズキさんが同行ですか?」
「そうじゃ。他の者ではこの王以上に暴走しかねんのでな。
ワシなら面識もあるし、王の暴走も止められるからの」
おおっ、ここにも味方が居た!
良識のある人ってありがたいね。
「じゃあ、今すぐ止めてください。この握手をやめさせてください。
手を離してくれません……」
「判った。フンッ!」
うわ~、脳天にチョップだよ。
意外に武闘派ですか?
痛がるかと思ったら、この王様すぐに復活したよ。慣れてるのか?
「この国は王様とホウズキさんの2人だけですか?」
「他の役立たずは研究の邪魔、いや、居ても意味無いからな」
「……あ、そうですか。では、まずニーベル国の王都にある、俺の家まで送ります。
飲み物と軽食を用意してますので、そこでお待ち下さい」
定型文を伝えて終了です。
次はロッツギルか。
あのジジイはホウズキさんと気が合いそうだな。
「お待たせしました」
「おお、福田君。いよいよじゃな」
「そうですね。あれっ? 同行者は?」
「すまんな。少し遅れておるのじゃ。おっと、噂をすればやってきたな」
うん、誰かが走ってくる音がする。
……嫌な予感しかしないが。
「お爺様! お待たせしました! あっ! 福田殿! 会いたかった!」
「……何でアイさんなんですか?」
「どうしてもと言うのでなぁ。ま、旦那を探しに行くと思えば良いじゃろ」
「旦那探しですか?」
「各国から王以外に2人付いてくるじゃろ? それらは王の信頼を得ている達ばかりじゃ。
ならば旦那とするには丁度良い人材じゃろ?」
相変わらず策略を練ってるなぁ。
各国の随行員の皆さん、狙われてますよ。
モリタ君が一番危険な気がするな。
「もう1人は?」
「いつもの通りじゃ」
「……あぁ」
近衛団長さんですか。
お疲れ様です。しっかりと子守をお願いしますね。
「では、まずニーベル国の王都にある、俺の家まで送ります。
飲み物と軽食を用意してますので、そこでお待ち下さい」
よし、ロッツギル終了!
コルラド国の王様とアイ姫が模擬戦しませんように。
もしそうなったら、双方とも送り返そう。
さて、最後は、ここ、ニーベル国だ。
メンツはどうせいつも通りだろうな。
「到着です」
「待っていたぞ」
「じゃあ行きましょうか」
「おい! ここでは定型文は言わないのか?!」
「着いたらすぐに移動でしょうが。必要無い!」
「王様だよ? この国で一番偉いんだよ?」
「そうか? どう思います? ヌマタ卿にネモト卿」
「「福田さんの方が偉い」」
「だそうです」
「ヒドイな!」
俺の方が偉いってのはおかしいけど、まぁ流しておこう。
さっさと移動してください。
これで全員揃ったね。
じゃあ、島に移動を開始しようか。
はぁ、面倒だなぁ……。




