ヌル
活動報告にも書きましたが、昨日(2月7日)で1周年です!
読んでいただき、ありがとうございます!
「何で喋り方が変なんですか?」
「その方がコンピューターっぽいでしょ?」
やはりわざとか。
そんな気の使い方は不要だよ。
「コンピューター、お前の名前はヌルとする」
「ハイ。リョウカイシマシタ。ワタシハヌルデス」
「いやいや。その変な喋り方はもう良いから」
「そうですか。判りました。通常に戻します。私の名前はヌルです」
「よろしく、ヌル」
「よろしくお願いします」
やれやれ、これでやっと普通に会話できる。
ルシファーさんは不満そうだけどさ。
「で、ヌルは他のアンドロイドに魔力を供給してるんだよね?」
「そうです」
「他には何をするの?」
「1つは、島と船と馬車の統括管理です。細かい部分はアンドロイドの仕事ですが、大まかには私が担当します。
1つは、新たな知識の吸収です。何を問われても答えられるように、情報の収集をします。
1つは、ご主人様とその仲間の管理です。健康面などが主な目的です。
1つは、外敵からの防御です。危険になる前に潰します。それが不可能な場合は応戦します。
1つは、財産管理です。お金は勿論、設備や持ち物も管理します。
まだありますが、聞きますか?」
「……いや、その時々に聞くよ」
「判りました」
うわぁ、ムチャクチャ優秀じゃないか。
バケツをひっくり返したような外観からは想像も付かないよ。
「ご主人様、1つ許可を頂きたいのですが」
「ん? 何をするの?」
「監視衛星の打ち上げです」
「……それ、必要?」
「はい。外敵から守るには必要な措置です」
そこまでするのか。
今までの話の流れからするとさ、どっかの国が攻めようと軍備を整えただけでバレるよな。
で、攻めて来る前に殲滅しそうだ。大丈夫かな、これ。
「大丈夫なの?」
「大丈夫です。この世界に宇宙空間に攻撃する術がありませんので」
「いや、心配してるのはそっちじゃなくてさ。先制攻撃とかするんじゃないだろうな、って事」
「その場合は許可を取ればよろしいでしょうか」
「ああ、うん、そうだね」
「判りました。それで許可頂けますか?」
「判った。許可します」
「では……今打ち上げました。これで監視及び宇宙からの攻撃が可能になります」
「おいっ! 監視衛星って言ったよね?!」
「監視衛星ですよ。防衛の為に武器を積んでいますが」
「さっき攻撃されないって言ったじゃないか!」
「現時点ではの話なので。未来において、攻撃されないとは限りません。
それに武器は積んでいるのかと聞かれませんでしたので」
うわっ、こいつ確信犯だろ。
聞かなきゃ答えない気だな。
面倒くさい!
だが、少し聞いておかないと何するか判らないぞ。
「これから先の防衛計画を教えて欲しい」
「最終目標は、100m毎に監視カメラを設置する予定です。
かなりの量が必要なので、近場から設置予定になっています。
集音マイクも同時に設置予定なので、悪口さえ逃がしません」
「……そこまで必要か?!」
「はい」
監視社会を構築するつもりか。
CIAも真っ青だな。
映画の世界じゃないか。
「とんでもない物を設置しましたね!」
「いやぁ、そんなに褒められても~」
「褒めてませんよ! どうするんですか?! ルシファーさん、責任取れますか?!」
「いやいや、神様なんて、同じ事してるよ。やろうと思えば心の中まで判るし」
そうだった。
神様の方が、シャレにならないんだった。
それを基準で考えたら、まだまだ甘いんだろう。
基準が間違ってるけどな!




