改造の問題点
「詳しく説明してください」
「え~、面倒だなぁ」
「どういう風に改造したんですか? いやぁ、興味あるなぁ!」
「そうかい! そんなに聞きたいならしょうがないなぁ!」
チョロい。
「だからね、君達の馬車って、6~8人乗りだろ? 外見でいえばワンボックスカーくらいじゃん」
ワンボックスカーとか言うなよ。
判りやすいけどさ。
「でも中に入ると、そこは君の家の玄関と同じ広さがあるんだ。
なぜかって? それは君の家を参考にしたからさ!」
「家を参考にしたって事ですけど、もしかして?」
「そう! 当然キッチンもあれば風呂もある。2階もあるよ!」
「完全に家じゃないですか!」
「そう、コンセプトはキャンピングカーさ!」
「それ、全然違いますから……」
「そうかな? まぁ細かいことは良いじゃん。
家なんだから好きな家具とか置いて住みやすくしてよ」
細かい事かなぁ。
かなり大事だと思うんだが。
「2つだけ疑問があるんですが」
「1つは水等はどこから来るんです? 補給が必要ですか?」
「その点は大丈夫。君の家から来るようになってるから」
勝手に家とも繋げられてました。
「もう1つは家具を揃えろって事ですが、どうやってです?」
「えっ? 普通に買ってくれば?」
「いえ、そうではなく。
外見は馬車ですよね? 中は広いですけど」
「そうだよ?」
「つまり外からの見た目は馬車ですよね?」
「だから、そうだってば」
「馬車の入り口のサイズだと、家具が入らないんですけど」
「……マジ?」
「マジ」
「……」
考えてなかったのかよ。
馬車の入り口なんて、日本の片開きの玄関より小さいぞ。
そんな所にベッドやタンスを入れるなんて無理。
日本のベッドのように組み立て式だったとしても、マットレスは不可能だろ。
ソファベッドのような展開式のベッドでも入らないよ?
「あっ! 簡単じゃん! 福田君のマジックボックスに入れて入れば良いんだよ!
ほら、問題無いでしょ! 完璧だよね~」
確かにそうすれば大きさなんか関係無いな。
俺とした事が、馬車の異世界化に驚きすぎててそんな事も忘れてたよ。
しかし、完璧と言われると何か腹が立つ。
どうにかして穴を見つけなければ。
……俺は何を競ってるのだろう?
「ここまで話して、もう1つだけ疑問が出てきました」
「なんだい? この完璧でパーフェクトな改造に対して、まだ疑問が?」
「馬車、とういうか家の管理はどうするんです?
島と違って、さすがにこんなありえない所に執事やメイドさんを連れて来れないですよ?」
「……じ」
「じ?」
「じ、自分で管理するとか?」
「風呂を掃除したりご飯作ったりですか? それだったら使わずに家に帰りますよ。
家ならメイドや執事さんが居ますから」
「むむむ、確かに……」
ふふふ、唸らせてやったぜ。
ほらほら、どうする?
「こうなったら……」
「こうなったら?」
「さらに異世界の技術を持ち込んでやるー! 覚えてろよー!」
そう言ってルシファーさんは帰って行った。
あれ? 俺は自ら困る事態を呼び込んだ?




