運の使い方、実践3
さて、悪魔が転げまわってる間に、誰か神様を呼んで引き取ってもらおう。
イイクラさんを呼ぶのがベストだろうけど、それじゃあなぁ。
何ていうか、もっと強く諌めてくれる神様が良い。
だって、普段から怒られてると思うんだ。でもこうやって来てるってことは、さ。
それに、苦労してるみたいだから、あまり呼びたくないんだよね。
問題は王様だよ。
会った事のあるのは、イイクラさんとアポロン神。
一応アスク神もか?
う~ん、新しい神様に会わない方が良いだろうけど……。
よ、呼べる神様が居ない!
アポロン神なんか呼んだら、またよけいな事をしそうな気がするし。
しょうがない、イイクラさんを呼ぶか。王様の練習にもなるだろうし。
「最後に。加護を使って神様に連絡してみましょうか」
「あぁ、先ほど、そこで転がっている人(?)に聞いたな。
しかしみだりに使ってはいけないと聞いたぞ? 良いのか?」
「悪魔が出現したら、人間では対抗出来ませんよ。今こそ神様の出番です」
「いや、福田殿がカラシ入り饅頭で対抗してたと思うが……。
いや、なんでもない。やってみよう」
王様は頑張って送っているようだ。
ん? アサイさんなら、今は王様に縋っているよ。
誰の加護が付いてるか知ってるしね。呼ばないで!って事じゃない?
2分後。
予想に反して、やってきたのはルシファーさんだった。
えっ? どうなってんの? 回線が混乱してる?
「何でルシファーさんが来てるんですか?!」
「丁度イイクラ君の所に居てね。珍しく加護を使った連絡が来たっていうから見たら、福田君が一緒に居るじゃないか。
なら、俺が替わりに行くよって事でさ。で、何の用事だったの?」
「あれ? 今、見たって言いましたよね?」
「うん。どうした?」
「えっと、見たのなら判りませんか?」
「えっ? 何が? あっ! アサイさんが居る!」
「見たのに気づかないんですか?」
「そちらの世界に合わせているからね。意図的に見ようとしないとこっちの人は見えないんだよ」
へ~。幽霊みたいなものか。
写真や映像には写るっていう。あっ、逆か。
「で、どうしたの? そこの王からの連絡だったみたいだけど」
「加護の使い方を教えてたんですよ。ついでにアサイさんを引き取ってもらいたいと思いまして」
「ふ~ん、そういう事か~」
「ルシファー様~! 福田君がヒドいんです! 私は仕事で来たのに!」
「あぁ、君が受けたのか。
福田君にね、渡してもらいたい物があってね。イイクラ君に頼んだんだよ。
どうやら、それを運ぶ役目を貰ってたみたいだよ?」
「いや、何も受け取ってませんし。それに来てから菓子ばっかり食べてましたし」
「あれれ? どういう事かな?」
「えっと、えっと、福田君が王様と話してたので! 邪魔しちゃいけないと思って!」
「……ふ~ん」
「ほ、ほら、今、渡しますから! えっと、えっと、あれ? 無い? あ……机の上だ……」
「ふ~ん。じゃあ取りに帰ろうか。俺も一緒に行くよ」
「いえっ! 一人で取って来ますから! 大丈夫ですから!
あ、あれ? な、何で私の襟首を持つんですか? 何で引きずるんですか?!
待って下さい! ちょっと! ふ、福田君、ヘルプミー!!」
「福田君、後で行くから。
あっ、そうそう、王様。この件は内緒でね。でないと……判るよね」
ルシファーさん。王様に脅しをかけないでください。
王様、ガクブルしてますよ。頷きまくってるじゃないですか。
引きずったまま、ルシファーさんは消えていった。
きっと帰ったら凄い説教をするのだろうな。
そのまま閻魔様にも報告してほしいね。
それにしても、俺に渡す物って何だろ?
また変な物じゃないよな?




