運の使い方、実践2
結果、予想通りにアサイさんがカラシ入りを食べた。
うむ、満足じゃ。
って、いやいや、満足してる場合じゃない。
確認した所、王様は運を3消費したそうだ。
対して俺は1だけ消費している。
この事実について考察しよう。
これは予想だが「王様は俺の運に対抗したのではないか」と考える。
まず、自分の願いに運を1消費した。
これは後で実践してもらえば判るだろう。
しかし実際には3減っている。
では残りの2は何に使ったのか、という事になる。
ここで、願い同士を相殺して1消費したのではないか、という憶測が出来る。
つまり「願い事(1)+他人の願いを自分の願いで相殺(1)+相殺されたので新たに願う(1)=3」じゃないか?
もしくは俺の願いに対抗するのに2消費した、という考え。
こっちの方が判りやすいかな?
「俺の願いを消す(2)+自分の願い(1)=3」って訳。
まぁ、どちらにせよ、同じ事なんだけどさ。
後はそうだなぁ、「願い同士が重なっても成就する」という可能性があるか。
言うならば「運を使う場合の消費量はランクに依存する」という事。
俺の場合は、1だけだ。
結構、大事の願いをしても1しか消費しない。
これはランクがAだからなのかも。
王様のランクはFだから、3も消費したのではないか?
最後に、願いの強さで変化する。
これは俺も体験しているので事実だ。
だけど、今回はカラシ入りの饅頭を食わないようにするってだけの話。
強く願うような内容じゃない。
だが、王様が毒入り饅頭を食うような気持ちだったらどうだ?
その場合、絶対に食べたくないと願うだろう。
この絶対ってのが反映されて3減ったんじゃないだろうか?
まぁ、結局の所、それも憶測なんだけどさ。
王様には色々使ってもらって、後日話し合いをしたい。
その為には、大事な事をもう一つだけ教えておかないとね。
「そうそう、王様。もう1個だけ大事な事を教えますよ」
「うん。それは良いのだが……そこで口を押さえて転げまわってる人(?)を放置しておいて良いのかね?」
「問題ありません」
「そ、そうか……」
「それでですね、運を操作するというのは幸運を呼び込むだけではありません。
不幸も任意で使えるのですよ」
「確かにそうだろうが、好んで不幸を呼ぶ人間など居ないだろう?」
「いえいえ、大事ですよ? 王様には子供が居ます?」
「うん? 居るぞ。もうすぐ結婚するんだよ」
「それはおめでとうございます。ところで、孫が出来たら嬉しいですか?」
「そりゃ嬉しいに決まってるだろ!」
「例えば、孫が出来た時に幸運扱いになり、運が10減ったらどうします?
同じくらいの大きさの不幸が来るかも知れませんよ?」
「な、なんだと?!」
「ステータスで運が見えるようになった弊害ですね。
減った事に気づかなければ問題無いのですが」
「た、確かに。知らなければ対策もしようがないからな」
「そうです。減った事を知ったからには対策が必要です。
その為に小さな不幸を呼び、1づつ回復させるのですよ」
「そういう事か! それなら大きな被害が出る事は無いな!」
「どんな事でも良いんですよ。心の中でこの出来事は不幸だな~と考えてください。
上手くやれば、10くらいすぐに回復出来ますよ」
「そうか。心がけよう」
よしよし。これで回復方法も理解出来ただろう。
まぁ、この方法も俺限定かもしれないので、実践して上手く行くか立証してもらおう。
「では、今現在、何か不幸を考えてみてください。
今、運は99ですね? 上手く出来れば100に戻せますよ?」
「う~む、不幸を考える、か。何かあるかなぁ……。
おおっ、そうだ。この人が転げまわってて迷惑だなぁ、というのはどうだろうか?」
「悪魔の所業を考えたら120くらいになってしまいますよ(笑)」
「じづでいだごどをびぶばー!」
はっはっは、何を言ってるか判りませーん。
しかし、そんなに強力なカラシが入ってるのか? 食べなくて良かったぜ!
ちなみに「失礼な事を言うなー」と言っています。




