運の使い方を伝授するの巻
「イイクラさんの加護は『操作』というものです。
名前の通り、操作出来るようになります」
「ふむ。何を操作するのだい?」
「『運』を操作出来ます」
「何と! 運を操作出来るとは!」
「その証拠に『属性』に『運力』ってのがありませんか?」
「確認してみよう……おおっ! 確かに! ランクはFだが、確かにあるぞ!」
Fか。
元々無かったんだから、覚えたてはFになるんだろう。
俺みたいにCとかなる方がおかしいんだよな。
今? 当然Aですけど。
「運は日常的に使われてます。それを意図的に操作出来るようになります」
「ちょっと待ってほしい。日常的に運が使われているとは、どういう事かね?」
「例えばですね、今日は肉が食べたいなと思ってた日の夕食に肉が出る。
こういう場合は幸運が使われてますね。
逆に、嫌いな食べ物が出た日は不運が使われてます」
「な、なるほど。だが、少しショボくないかね?」
「こういうのは運を1だけ使ってるんですよ」
「そういう事か。では素晴らしい幸運の時は、大きく使っているという事か」
「そうです。あっと、肝心な事を説明し忘れてました」
「えっ?」
危ない危ない。
運が一定量って事を言っておかないと、幸運を使いまくって大不幸を背負ってしまう所だった。
「まず、誰もが100ほど運を持ってるんです」
「ふむふむ」
「幸運があると、これを消費します。
ただし、運は100に戻ろうとするので、不幸が必ず訪れます」
「なんとっ!」
「逆に100の時に不幸が来れば、戻る為に幸運が訪れます」
「つまり、1の幸運が訪れたなら、1の不幸が来る訳だな?」
「いえ、そうとも限りませんよ。1の不幸の後に2の幸運が来るかもしれません。
常に前後していると思ってください」
「……福田殿、今自分のステータスを見たのだが。運という項目が追加されていて、102になっているのだが……」
「えっ? 元々無かったですか?」
「あぁ。見た事は無かったな……」
なんだと?!
俺は最初から見れたぞ?
そういえば、他人のステータスを見た時に、それを見た記憶が無いな……。
「アサイさん、説明プリーズ!」
「えっ?」
「聞いてろよ! 部屋に用意してあった菓子を食べてんじゃねぇよ!」
「だってヒマだったんだもん。お茶はどこかしら?」
「ステータスに運が表示されてる事を説明しろよ! そしたらお茶出してやるよ!」
「『運力』があるからでしょ? 福田君の場合、120スタートだから見れるんじゃない?」
「そういう事か。ありがと」
「いえいえ。お茶頂戴?」
「はいはい」
「……これ、水なんだけど?」
「16万……」
「水って美味しいわよねっ!」
そういう事か。
まぁ、操作出来るなら数値が見えた方が良いよな。
数値が判らないんなら、危険すぎて使えないよ。
「福田殿、102という事は、この後幸運が来るのだろうか?」
「そうですね。ただ、戻ろうとはしますが不幸が来て103になる可能性もあります」
「えっ?! では、どうすれば?!」
「そこで『操作』を使うんです。
意図的に幸運を起こせば、100に戻るでしょう。
ただし注意しておきますが、幸運を大きく使ってしまうと大きな不幸が訪れるので気をつけてください」
「な、なるほど。言われれば確かにそうだな……。気をつけよう」
これだけ言っておけば、無謀な事はしないだろう。
神様から貰った力だから、バカな事はしないと思うけど。
「そうそう。多分ですが、102になったのは、この部屋に悪魔が来たせいだと思いますよ」
「えっ? どこに悪魔が? あぁ、イイクラね。あれは確かに悪魔だわ~」
「ちゃうわ。お前だよ。菓子片手に水を飲んでる、お前だよ!」
一覧が分かりにくいようなので、こちらに書いておきます。
http://ncode.syosetu.com/n9230dn/
です。
他の小説扱いになってるみたいです…。




