悪魔登場!
「王様、気をつけて! その女は悪魔です!」
「何っ?!」
「ちょっと! 何言ってんの?! 私は天使よ?! 失礼な事言わないでよ!」
「悪魔は天使の振りをしてやってくるのです! 危険が危ない!」
「福田君! 勝手な事言わないで!!」
「では質問。ルシファーさんは天使?悪魔?どっち?」
「そんなの人間が勝手に決めた事でしょ?」
「ほらみろ! って事は人間である俺が決めたなら、お前は悪魔だ!」
「ヒドい! 王様、違うよ? 違うからね?!」
「ええ~と……」
王様、迷ってはいけません。
そうだな、具体例をあげておこう。
「王様、クマに出合った場合どうしますか?」
「逃げるか死んだ振りをするかな」
「そうです。『あっクマ』と思ったらそれが正解です。悪魔も同じ。『あくま』なんだから!」
「福田君、面白くないよ?」
「うるさいな、この悪魔は。
じゃあ、決定的証拠を出してやろう。
16万返せ!!」
「何の事? ……あっ! え~と、何の事か判らないわ? ヒューヒュー」
「今、あっ!って言っただろ。思い出したんだろ?
鳴らない口笛を吹いて誤魔化そうとしても無駄だ!
こちらには証拠もあるぞ! 王様、これを見てください!」
俺はさっき発見した手紙を王様に見せる。
そこにはお金を借りたと書いてあるので、言い逃れは出来ない。
「どうです? お金を借りたと書いてあるでしょう。
この国では、黙って内緒でお金を持っていく行為はどうなりますか?」
「え? ええと、そりゃ泥棒だろう」
「そ~うです! そうなんです! 泥棒ですよね!
という事は犯罪です。犯罪をする超生物、それすなわち悪魔ですよね。
負けられない戦いがここにはあるんです!」
「か、借りただけでしょ?! 手紙にも書いてるんだから、泥棒じゃないわよ?!」
「ところでアサイさんの加護って何だったっけ?」
「『魅力』よ。だから私は泥棒じゃないからね!」
「じゃあ、今すぐに返してください」
「い、今は、給料日前だから、ら、来週、いや、再来週に返すから!」
「ふ~ん。じゃあイイクラさんにそう伝えるわ」
「いやっ、別に、イイクラに、伝える、必要は、無く、ないかな?」
焦るアサイさんだが、もうそんな事はどうでも良い。
加護、思い出したぜ!
アサイさんが『魅力』の話をした時に、イイクラさんの加護も話してた。
そう、イイクラさんの加護は『操作』だ!
運が操作出来るようになるやつ。で、属性に『運力』が付くんだったわ。
「それでですね、王様。加護ですが……」
「いや、福田殿、何も無かったように話し始めないでくれないか?
この人物は……」
「あぁ、先ほど来たイイクラさんの部下です。
で、加護ですが」
「ちょっと! 私を無視しないでよ!」
「判った判った。ほれ、王様に加護に付いて説明してあげなさいよ」
「何で私が?!」
「えっ? 与える立場なのに、説明も出来ないの? マジで?」
「出来るわよ! 私は優秀なんだから! 簡単よ!
いい、王様、ちゃんと聞きなさいよ!!」
おおっ、説明する手間も省けた。
ラッキー。
単純な人は扱いやすくて良いね。
どうやら一通りの説明が終わったようなので、俺は『運力』の事を教えよう。
「だからね、私の加護は『魅力』なの! ぴったりでしょ?!」
「はいはい、アサイさん。ハウス!」
「クゥーン、クゥーン、って私は犬かっ?!」
「今からイイクラさんの加護について話するから、黙ってて」
「それくらい私がやるわよ!」
「……16万円」
「あっ、はい。黙ってます」
別ページに、神様と天使とその加護を纏めました。




