悪魔かよっ?!
「さて、今回の件についてお話しましょうか」
「そうですね。早く終わらせましょう」
「福田さんが呼び出さなくても、本日中には参上する予定でしたけどね……」
そう言われてもさぁ。
先に教えておいてくれないと判らないよ。
ん? 言われなかったって事は、俺は来なくても良かったって事か?!
えっ? 無駄足?!
いやいや、家の話をしに来たんだよ。そう、そうなんだよ。
まぁ、王様とイイクラさんの話し合いだ。
俺は静観していよう。
「王には選択肢が3つあります」
「はい。何でしょうか」
「まず1つ目。死んで新たに生まれ変わる。
当然苦しむ事も無く死ねます。そして良い環境に生まれ変わる事になりますね」
「怖っ!」
「福田さんは黙っててくれませんか?」
「そう言われてもその提案は怖いですよ!」
あっ、まだ途中だから黙ってろって。はいはい。すみません。
「2つ目は、神の呪いを受ける事です。
これは、神関係の事を喋ろうとすると、口が利けなくなります。
あぁ、この手の時によくある『筆記やデェスチャーで伝える』というのも無理ですから。
ただ、動けなくなったり喋れなくなるのは一時的な事ですので命にかかわるような事ではありません。
ただ、死んだ時に1回につき1ほどカルマが減ってますけど」
それも怖いな。
一時的って言ってるけど、それが10分なのか1年なのかは不明だし。
例えば神様時間で1分とか言われても全く判らないよね。
だって地球ってさ何億年も経ってるじゃん?
それ作った神様が普通に生きてる訳でしょ?
時間の流れが違うって事じゃんか? それで1分だったらどうよ?
こっちでは100年くらいにならないか?
それとさ、1回につき1カルマ減るんだろ?
それって結構なペナルティだぜ?
あっ、マイナス面ばかり考えたけどさ、喋ろうとしなければ問題無しか。
そう考えれば、1つ目の選択肢からはかなり安全になったね。
「3つ目は何もしない、です」
「「えっ?!」」
さすがに俺と王様の声が重なった。
さっきまで脅すような事を言っておきながら、最後に何もしないってなんだよ。
考えが読めない。どういうつもりだ?
「正確には『何もこちらは干渉しない』という意味です。
王が言いふらす事で、王や福田さんに不利益が生じようと一切関知しません」
「え~と、その言い方と今までの選択肢から考えると、何かが起きると言う訳ですね?」
「さすが福田さん、自分の事になると察しが良いですね」
「失礼ですね! 常に察しは良いですよ! ただ無関心なだけです!」
「それもどうかと思いますが……。
まぁ、そういう事です。
今までの経験からするとですね、神と出合った事を言いふらした場合、碌な事になっていませんから」
「例えば?」
「一番多かったのは、戦争ですね。宗教は必ず戦争の引き金になっています」
あぁ、これは判る。
日本で生きてた時でも、過去から現在まで戦争ばかりだった。
その中で宗教が関連しない戦争がいくつあっただろうか?
例えそれが戦争を起こす為の大義名分だったとしても、ほとんどの戦争が宗教絡みだった気がする。
そもそも、宗教の教義に命は尊いような事が書いてあるのに、それでも戦争するもんな。
この世界だと、聖王国か。
多分攻め込んで来るんじゃないだろうか?
聖王国以外でも、神はダヒュテムって事になってるんだから、大混乱になるのは間違いないだろう。
「次に多いのは、幽閉か処刑ですね。おかしくなったと思われて行われます」
そういうのもあるな。
地球の過去にもあったね。
魔女狩りとか。十字架に貼り付けにされて火あぶり……。
多分、人知れず幽閉になった人も居ただろうね。
特に王族なんかの場合は、それが多そうだ。
だが、2つ目と同じで喋らなければ問題無し。
ペナルティが無いだけ、全然良い。
ただ信頼が必要だけど。
「さぁ、王よ。どれを選びますか?」




