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非常識家族

さすがにこれは無視する訳にもいかないので、どうにかしなきゃね。

顕現した神様を見てるんだもん。

口止めの意味もあるし、俺との関係もあるし。


って事で、早速イイクラさんに連絡だ。

今回は習った加護の使い方で連絡してみようと思ってる。


イイクラさんの加護を想像しつつ、『来てください』と考える。

これで良いハズだ。


少し王様と雑談してたら、イイクラさんが急いで現れた。

よほど急いでいたのか、普通にこの場に顕現しちゃったよ。


「はぁはぁ、何事ですか、福田さん!」

「あれっ? そんなに緊急って伝わりました?」

「えっ?! 緊急じゃないんですか?! 加護なんか使った事が無いのに、突然使うから緊急と思うじゃないですか!」

「そ、そうなんですか?!」

「そもそもですね、加護を通して連絡するのは、知られてない事なんですよ」

「ど、どういう事です?」

「加護を与えた人間が、凄くピンチに陥った時にそれを知らせるアラームのような物なんです。

 だから、加護を持っている人間は無意識に使うんですよ。

 連絡が出来るなんて教えたら、好き勝手に使いますからね」


確かに。

何時でも青い猫型ロボットに繋がると判ってたら、誰でも頼るよな。

だって神様だよ? 多分だけど万能だよ?

よくこういう時って「俺は頼らずに生きていくぜ」なんてかっこつけて言うヤツいるけどさ。

毎日電気を使って生活してる現代人が、電気に頼るのを止めるって言うようなもんだよ?

便利に慣れたら、それから離れるのは容易じゃないって。

あるのが当たり前になってしまったら、無くなるのは凄い困る。

今、運と魔法禁止になったら、この世界で生きる自信が無いね(笑)


「そんなアラーム的な物だったんですね。

 アスク神から聞いたので、使ってみたんですが……」

「あの人はね、ほとんど加護を与えた事が無いんですよ。まだ若いですから。

 母親も、加護を与えた人数は少ないハズです。理由は……」

「あっ、それは判ります。神様になってからそんなに経ってないからでしょ?」

「その通りです。聞かれましたか」

「ええ」

「それで、あの父親でしょ? 言っては悪いですが、非常識家族ですよ!」


言っちゃったよ!

どうやら、相変わらず中間管理職で苦労されている様子。ご苦労様です。

そこはもう少しオブラードに包んだ方が良いと思いますが。

現地民も居ますよ~。


「おっと、話が逸れましたね。

 まぁ、福田さんに関しては使ってもらって結構です。うちのバカが迷惑をかける可能性が高いので」

「そこは止めてくださいよ!」

「止める事が出来てるなら、このようになってないと思いませんか?」

「思いますけど! 大変だなと思いますけど! でも頼みますよ!」

「努力はします。出来る範囲で、ですが。

 しかし、無理な事は無理なので。了承しておいてください。

 何かあったら加護を利用して連絡ください」

「……判りましたよ」

「それで、今回は?」


あっ、忘れてた。


「あのですね、こちらの王様の事なんですが」

「あぁ、そうですね。私は天使のイイクラと申します」

「わわわ私は、セキハイムで王をしています、セイウンと申します!」


あっ! 初めて王様の名前を聞いた気がする!

セイウンって言う名前なんだ。覚えておこう。

それにしても、スーツ姿のイイクラさんが天使って、すごく違和感があるよな~。

せめて頭の上に輪っかと、背中に羽根が欲しかった。


「……なんですか、福田さん。何か言いたい事でも?」

「いえ、何も。ただスーツなのに天使か~と思っただけです」

「緊急じゃなければ、それなりの格好をしましたよ!」

「あっ、すみません……」


しかし、それなりの格好ってどんなのだろうか?

やはり小学校の給食係のような服に輪っかに羽根?

……いかん。その姿で現れたら笑ってしまうわ。プププ。


「失礼な事を考えてるでしょう?」

「イイエ、ナニモ」


いかんいかん。真面目にしなきゃな。

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