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またまたセキハイム

最後に加護の使い方を教えてもらった。

基本的にはパッシブスキルなんだそうだが、任意で動かすいわゆるアクティブスキルでもあるそうな。

使い方は簡単。

加護を貰っている神様の名前を考えて呼びかけるだけ。

これでその神様に声が届くのだ。


ただし、声と言っても『言葉』ではない。

簡単な単語が届くらしいのだ。

例えば、危険な場合は『助けて』、何かを願った場合は『叶えて』、など。

願い事がそのまま行く訳ではない。


何でだろうと聞いた所、大昔に人間が生きやすいようにと加護を与えまくった神様がいたそうな。

すると人間は願い事をバンバンと送ってきたらしい。

今の日本で言えば、正月の神社のようなモノだ。

ムチャクチャうるさいし鬱陶しい。

しかも願えば叶うと勝手に思い、働かない。

怒った神はその世界を消したそうだ。


それ以来加護を与えるのには許可が必要になり、単語のみになったんだってさ。

ずうずうしい人間も問題あるけど、世界を消す神様も怖いわ~。


まぁ、とにかく、もしアポロン神が来たらこれを使って連絡すれば良い。

タブレットを使って連絡するより確実だし、何よりも阻止する事が出来ない。

なんとも助かる機能である。

今度アサイさんの姿を見たら、これを使ってイイクラさんに連絡してみようと思う。



やるだけやって、神様は帰っていった。

加護のお陰か、キジマさんは食欲が無くなる事もない。

ヒタキさんは嬉々として、医者に医術を習いに行っている。

知識はあっても実践してないので、という理由だ。優秀な上に勤勉ですか。凄いな。


とまぁ、のんきに過ごしてたら、3日後にサミットを開催するという通達が来た。

やっぱりやるのか……。面倒だなぁ。

それに先立って、セキハイムに来て欲しいという事も書いてあった。

イイクラさんでも来たのかね?


って事で、やってきましたセキハイム。

『門のシール』を利用して来たので、王様の私室です。

なので今日は1人で来ています。

護衛、必要無いでしょ?


「おおぅ、福田殿か?! 連絡無しだからびっくりするではないか!」

「すいませんね。連絡手段が無かったので」

「む、確かに。それに呼んだのはこちらだしな。しょうがないか」

「そうです。しょうがないです。で、何の用事ですか?」

「家なんだが。正式に譲る事が決定した。

 あぁ、あれ以来誰も家には入ってないので、中はそのまま残っているぞ。

 全て君の物だ。自由に使ってくれ」


自由に使えって言われてもさぁ。

例えばベッド。あの貴族が使ってたベッドに寝る気になるか?

例えば服。あの貴族が着てた服を着る気になるか?

答えは否。お断りです。


「じゃあ、全部売ります」

「えっ? 全てか?!」

「ええ。人が使ってたのってイヤじゃないですか? ベッドとか」

「しかし宿屋とか、人が使ってる物だぞ?」

「それは、毎日綺麗にしてるじゃないですか。泊まる人も気を使うし。

 あの貴族が夜の営みしてたっていうベッドを使う気になんかなりませんよ!」

「……そう言われればそうだな。確かに使いたくない」

「なので、全て売却で。あぁ、従業員の人の物は別ですよ?

 後、風呂とかは作り直したいですね」

「そこまでか?!」

「いや、中古住宅ってのは良いんですよ。ただ、前の持ち主を知ってるってのはちょっとね。

 しかもイヤなヤツだった訳じゃないですか。気持ち的にイヤですよね」

「そ、そうか?」

「じゃあ、その家の風呂に王様が入ってきてくださいよ。

 あの貴族が長年入っていた風呂に。触れてない場所なんか無いんだろうなぁ……」

「イヤな言い方をするな! そう言われたら入る気なんか無くなるわ!」

「でしょ? だから改築したいんですよ」

「判った判った。その費用はこちらで持つ。自由に改築してくれ」

「ありがとうございます」


やった! 新品の風呂、ゲットだぜ!


「では早速、家に行ってもらおう。あの時の兵士に案内させる」

「あの時の? あぁ、因縁つけられた時のですか」

「そうだ。事情も知ってるし、丁度良いだろ? 『コネクト』の事も話してあるから大丈夫だ」

「判りました」

「それとな……。ほら、アレは……」

「はい?」

「神様の件だよ……」


あぁ、そうだったね。

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