神と王
さすがにどこまで話して良いのか判らないので、この辺で止めておこう。
後はイイクラさんが来た時に相談すれば良いかな。
丸投げとも言う。
だから王様には「これ以上は……天の指示が無いと……」と言って誤魔化しておいた。
これでさすがに聞いてこないだろうと思ってたら、最後に困る質問が。
「判った。それ以上は聞かない。
ただ、最後に教えてくれ。福田殿は……神なのかね?」
「違います!」
「では……天使?」
「違います!」
「神の遣い?」
「違いますって!」
「では、何なのだ?!」
「一般人です」
「……さすがにそれでは誰も信じないぞ?」
いや、本当の事を言っても信じないでしょ?
くじで当たったから転生してきたけど、アサイさん(悪魔?)の失敗で神様がかかわるようになった。
こんなの俺でも信じないぞ?
う~ん、何と説明するのが正しいだろうか?
正しいって言い方は正しくないな。何を言ってるのか判らなくなってきた……。
正確には納得してもらえるか、だな。
「え~と、町で困っていた人を助けたら、それが神様だったんです。
それから神様との付き合いが始まったのでした。
常識では考えられない事が起きる。アンビリーバボー」
「今、考えただろ?」
「ソンナコトナイヨ?
え~と、え~と、神様が言うには『神と判ってても態度が変わらないのが気に入った』そうです。
どうやら珍しいようで」
出合ったどんな神も、欠陥があったからなぁ。
それに日本に住んでると、神様の失敗って当たり前のようにマンガや小説で登場する。
伝承にも残ってるくらいだしね。
インドだったっけ? 子供が可愛いからって抱きしめたらくっついたってのは? 違ったっけ?
そもそも、日本人は信仰が弱い。
せいぜい、正月に神社に行くのとクリスマスくらいだ。
それも皆がやるからやってるだけだし。
何かで読んだけど、日本人で神を信じてる人の人口を足すと、日本の人口を上回るとか何とか。記憶違いかもしれないが。
世界から見れば、謎の国だと思う。
「……まぁ、そういう事にしておこう。
しかし、福田殿は神を恐れないのか?」
「神を神と思うから恐れるんじゃないですかね?
強い力を持った人間だと思えば怖くないですよ」
「そんな考えで良いのか?!」
「一般人からすれば、神も王様も同じですよ。
じゃあ仲良くなれないのか?って話ですね。王様に友と呼べる人は居ませんか?」
「……なるほど。公私は別という考え方か」
「そういう事です。
ついでに言えば、聖王国のように狂信されると迷惑って思うんじゃないですか?
信じない人よりも信じすぎる人の方がやっかいです」
「では、私はどうしたら良いだろうか?」
「他の国の王様相手だと思って、接すれば良いと思いますけど。
他の国の王にひれ伏したりしませんよね?」
「う、うむ。出来るかどうか判らないが、努力しよう」
「あ、でも、これは俺の考えなんで。その都度考えてください」
「最後にそれを言うか?! 色々台無しだな?!」
だってさぁ、それで怒る神とか居るかもしれないじゃん。
その時、俺のせいにされても困るし。
「え~と、頑張れ?」
「ヒドいな! 福田殿は、もう少し王に対しても節度が必要だと思うぞ!」
「いや~、尊敬出来る王様が少なくて……」
「自分は?!」
「心配無用! まともな方です!」
「……バカにされてる気がするのは、何故だろうな?」
「文句は各国の王に言ってください! それと、貴方だけはまともな王でいてください!」
碌な王が居ないからね!




