体脂肪測定?
俺は王様に近寄り、立ち上がらせて椅子に座らせる。
腰が抜けたのか、その場で座り込んでたからね。
「ふ、福田殿……。私はどうすれば良いのだろうか? このまま神罰が下るのだろうか?」
「そんな事はありませんよ。俺がしっかりと報告するので大丈夫です」
「報告? 報告とは?」
「神様にも順列とかあるんですよ。上司に報告すれば罰せられると思いますよ。
顕現するなんて、多分ですが許されてないと思いますから」
「福田君~、報告しないって話じゃなかったかな~と、アポロンは思う訳ですけど」
「全部は報告しないだけですよ? 顕現したのは誤魔化しようがありませんので」
「くっ! マズいぞ! どうする? カイロスを呼んで時間を戻してもらうか?」
「何を企んでるのか知りませんが、とにかく解決させますよ」
「ん? あぁ、そうだな!」
さて、そう提案をしたのは良いけど、どうやって解決したものか。
こうなってしまうと運を使っても解決しないだろうしなぁ。
運は何かが起きる前に発動させておく物だと思うんだよね。
ま、その辺も神様なら何とか出来るだろう。
「本気じゃなかったと証明する方法はありますか?」
「頭の中を読めば良いだろ?」
「それが出来るのは神様だけです。他の方法を考えてください」
「むむっ、面倒だな。……待てよ、アレが使えるか? ちょっと待ってろ!」
そう言い残して姿を消した。
何か良い物を持ってるのだろうか?
それも神様限定な気がするけどさ。
王様は少しだけ復活したのか、この場に居る者に指示を出している。
この事は誰にも言うなとかだ。
言っても気が狂ったとしか思われないだろうけど。
そして、外に出て兵士を呼び、誰も入って来れないように警備させた。
今頃、城は大騒ぎだろうなぁ。
政務室に居ると思ってた王様が、競馬場に居るんだもん。
指示が終わった頃、アポロン神が何かを持って帰って来た。
何か見た事あるような物だな?
あぁ、前世の日本で、上半身の体脂肪を測るヤツにそっくりだ。
液晶画面が真ん中に付いていて、両縁の握りを持って測定するやつ。
体脂肪測定するの?
「これを使えば良いだろう!」
「何ですか、これ」
「これは『死者の入り口』で使用していた、ウソ発見器だ!
今ではタブレットを使うようになって、不要になったので倉庫に仕舞ってある。
これならこちらの世界の者も使えるだろ!」
おっ、少しは考えてたのね。
確かにあそこは色々な世界から来るので、そこで使ってたなら万能だと思う。
ただ、一つ気になる事がある。
「それは借りてきたのですか?」
「使っておらず、倉庫に仕舞われていた物だ。持って来ても誰も文句言わないだろ?」
いや、在庫管理とかね……ま、いいか。
怒られるのはアポロン神だ。何も言うまい。
「で、どうやって使うんです?」
「実際に使ってみれば判る。そうだな……おい、王よ、これを両手で持て」
「ふ、福田殿?」
「あ~、大丈夫だと思いますよ。えっと、左右にあるグリップを持ってください」
「わ、判った。まさか生きて神器を手にする日が来るとは……」
そうか。神様が持ってきた物だから神器か。
ただのウソ発見器だけどね。
「では、福田。中央にある赤いボタンを押せ」
「押すとどうなるんですか?」
「10の質問に答えるまで手が離れなくなる。
答えがウソの場合はブザーが鳴り、事実ならチャイムが鳴る。
ちなみに答えない場合は、魂に直接ダメージを与える仕組みになっている。
10問全て答えないと、消滅だな。転生すら不可能になるぞ」
「怖っ! 大丈夫なんですか?!」
「事実を答えれば、何の問題も無いだろうが」
「……まあ、そうですけど。じゃあ王様、そういう事らしいので」
「えっ?! それを聞いて実践してみろと?!」
「確かにイヤですよねぇ。どうしましょう?」
「おい、王よ。お前は神を前にしてウソをつく気か?」
「いえ! そんな事はありません!」
「では問題無いだろう? 持て」
「……はい」
ヒドいな神様!
まぁ、俺にやってみろと言われたくないので、黙ってるけど。
俺だって人柱はイヤだ! ゴメンな、王様。




