報告義務
何やってんだ、この神様は!
天候がイジれる事は知ってたけど、地元民にそれを見せるか?!
周りを見なさいよ! 皆唖然としてるじゃないか!
「むむっ! どいつもこいつも偶然曇ったのだと思ってるようだな!」
「思考を読んでるのかよっ!」
「福田、うるさいぞ。それくらい当たり前だろ。神を信じぬとはなんたる事だ!」
いや、誰もが信じないだろ。いや信じたくないのだ。
神様が目の前に居る。
これをすぐに信じるなんて、頭がおかしい人か狂信者だけだろ。
だが、アポロン神はそれが不服なようだ。
「ふん! では偶然じゃない事を証明してやろう。
ここの中心にあるあの岩と、向こうに見える山の頂上に雷を落としてやるわ!」
「ちょっと! そんな危険な事は!」
「大丈夫だ! 誰も居ない事は確認済みだ!」
「そういう問題じゃなーい!」
ゴロゴロゴロ、チュドーン
本当に落としやがったよ、この神様。
シャレにならんわ。
どうするんだよ、この雰囲気。
全員怯えてるぞ?
あの貴族なんて、椅子の陰に隠れてガタガタ震えてるし。
雷を落とした後はスッキリしたのか、手を振って空を快晴に戻した。
ちなみに場内アナウンスで、次のレースは1時間後に変更された事が判った。
あれだけの異常気象だ。そりゃ変更するわな。
「ふむ。どうやら全員が神と判ったようだな」
「アホかーっ!」
スパーン
近くにあったスリッパでの一撃!
アポロンは1のダメージを受けた!
「福田! 神の頭をはたくとは、無礼だぞ!」
「無礼もクソもあるか! 何してんだよ!
この事は上司と奥さんに全て報告されてもらう。あぁアスクって息子さんも居たね。
息子さんにも当然報告させてもらう!」
「……神の頭をはたいた事は不問にしよう。だから、な?」
「何が、な?ですか! 無理です。報告します。
閻魔様が良いですかね」
「閻魔に報告だと?! 止めろ! 閻魔に報告されたら父にまで知られるじゃないか!」
父?
アポロンの父って誰だっけ?
ギリシャ神話を勉強しとけば良かったなぁ。
誰が父か知らないや。
俺が知ってるギリシャ神話に出て来る神様って、誰が居たっけ?
え~と、アテナとかアフロディーテとかポセイドン。
後はロプロス? それは某二世の方か。
あっ、後はトリトン。N○Kのアニメじゃないやつね。
思い出した! 後はゼウスだかデウスだかっての。
メインのお菓子が捨てられた、シール付きの某お菓子を想像してたら出てきたわ。
この人が一番偉いんじゃなかったっけ?
「父って、ゼウスですか?」
「なっ! 何故福田が知っている?!」
お~。勘で言ってみただけだが合ってたようだ。
じゃあそこにも連絡だな。
子供の不祥事は親に叱ってもらわないとね。
「じゃあゼウス神にも報告します!」
「……福田君。私達は話し合う事が必要だと思うんだ。
争いは何も生み出さない。話し合いが大切なんだと思う」
「そうですね~。10分前くらいにそのセリフが欲しかったですね~」
「福田君! いや、福田様! どうすれば黙っていてくれるだろうか?!」
「え~、まずは現在のこの状態を収めましょうよ」
「うん! そうだな! ほれ、王よ! ちゃんとしろ!」
「お前のせいだ!」
スパパーン
アポロン神は1のダメージを受けた!




