最大のピンチ!
どうもこんにちは。福田です。
現在、最大のピンチに陥ってます。
原因? う~ん、何でしょう、複合って感じでしょうかね。
まあ、不幸な時ってそんなもんですよね。
そもそもは、アポロン神から始まったんですよ。
「とにかく俺の話を聞け」
「ええ。聞きますけど、今日はちょっと用事があるんで……」
「何だよ、用事って。神様との話よりも大事な事があるか?」
「いや、神様からすればそうでしょうけど、この世界で住んでいる人間にも事情って物がありますよ」
「その世界を造った神の用事の方が先だろ」
「じゃあ、聞きますけど。例えばルシファー神が相談があると言われたら相談に乗りますよね?」
「当然だろう」
「でもその日は貴方の奥様と約束してたらどうです? どっちを優先します?」
「そりゃ先に約束してたんだから、嫁の方を優先するさ」
「相談が重要な事でも?」
「話せば判ってくれるさ」
「それと同じですよ。俺も先に約束している方をしたいだけです」
「むっ。だが、重要度が違うだろうが」
「あっ、そう言いますか。って事は奥様との約束は重要度で守らなくても良い時があるという事ですね?」
「それは違うだろ!」
「いや、そういう事でしょ? ルシファーさんに連絡先を聞いて奥様にも話を聞いてみましょう」
「……確かに福田君の用事も大事だな。終わるまで待つとしようか」
やはり奥さんを出すと、話が早いな。
先々の事も考えて、奥さんの連絡先は誰かから聞いておいた方が良さそうだ。
「で、お前の用事とは何だ?」
「ちょっとここの貴族に絡まれましてね。勝負をする事になったんですよ。
負けてはいけない勝負なので、行かないとダメなんです」
「そういう事か。なら俺も同行しよう」
「いやいや! 何で、そうなるんですか?!」
「アレスほどじゃないけどな、俺も勝負事は好きなんだよ!」
「アレスって誰です?」
「知らねぇのかよ! アレスはあれだ、ほら、え~と、戦争を司る神だ」
「へ~。ってそれよりも付いて来なくても良いですよ!」
「いや、行く! また逃げられても困るしな!」
ちっ! 鋭いな。
現場から逃げるとか、奥さんの連絡先を聞くとか考えてたのに!
「判りましたよ。その代わり、おとなしくしておいてくださいね」
「判ってるよ。神だとバレちゃ困るからな」
「……まあ、そういう事ですんで」
神だとバレる事は、まず無いと思うんだが。
偉そうな態度を取られるとまた面倒になるから言ったんだけどな。
「そうそう、福田よ。お前、運を使うなよ?」
「はぁ?!」
「俺達には通用しないんだが、近くで使われると何か気持ち悪いから」
「じゃあ付いて来なければ良いじゃないですか!」
「使わなければ良いだろう!」
はい。
こうして最大のピンチを迎えてるわけですよ。
勝負に神様は付いてくるし、運は使用禁止だし、勝負が終わったら神様の話があるし。
三重苦ですよ。
これで買収してる貴族に勝てって言うんですから、どうしろって話ですよ。
唯一の良い事と言えば、運の数値がガンガンに増えていく事ですかね。
現在、減った運も回復した上に、さらに増加して150になってます。
それだけ俺がこの状態を不幸だと感じている証拠でもあるんだけど。
神様、仏様、この状態をお救い下さい!
ってその神様が元凶なんだけどさ!
俺の願いも空しく、昼前には『ばんえい競馬場』に到着した。
この状態から逆転勝ちしろって、どんな無理ゲーだよ!




