セキハイムの褒美
間違えて次話を投稿してしまいました…。
この後は何事も無く、王の待つ部屋へ通された。
そこは既に人払いがされていて、案内した兵士さんもすぐに去って行った。
「これはこれは、福田殿。今回の訪問はあの用件だな?」
「そうです」
「手間を掛けるがよろしく頼む。設置場所は既に用意してある」
「話が早くて助かります。どこにすれば良いですか?」
「この額縁に設置して欲しい。貼った上に別の絵を飾るので判らなくなるようにするのでな」
「了解しました」
『門のシール』を貼る、簡単なお仕事です。
すぐに設置は終了した。
「これで終わりです」
「ありがとう。さて、褒美の話をしようか。
各国が共同で出す物は判っていると思う。それとは別に各国の王が出す物の話だ。
まず1つは『ばんえい競馬』の毎年の売り上げの5%を福田殿の物とする。
これはギルドに払うので基本的には何処に居ても入手出来るはずだ」
ギルドの銀行業務を利用するのね。
確かに受け取る為に毎年この国を訪問するのは面倒だもんな。
「ただ、これは国技を決めてくれた褒美のような物。
今回の褒美では無いと思ってくれて結構。別に何かを渡そうと思っている」
「そうなんですか? それだけで結構なんですけど」
「そういう訳にはいかんだろう。調べた所によると、福田殿は家を買おうとされたとか。
なので、家を1件提供しようと思っているが、どうだろうか?」
「あっ、じゃあ、それでお願いします」
これでこの国への転移場所が確保出来る。
この家にかかる税金なんかは、貰える1%を使えば良いだろう。
「それだけでは少ないと思っているのだが、何か欲しい物は無いかね?」
「う~ん、特に無いですねぇ」
「さっきの事は頼まないの?」
「さっきの事?」
「コラ、ナグラさん。言うんじゃないよ。アレはこっそり処理するつもりなんだから」
「あっ、そうなの? でも知らせないのはマズいんじゃない?」
「何の話かな?」
「あ~、さっき貴族に絡まれたってだけですよ」
「何?! 国賓として呼ばれている福田殿に絡んだバカが居るだと?!」
そう言うと王様は立ち上がり、部屋の扉を開けた。
「先ほど、福田殿を案内した者を呼べ!」
ほどなくして、さっきの兵士さんがやってきた。
変な事に巻き込まれましたね。すみません。
「聞けば福田殿が貴族に絡まれたという事だが、お前は全てを見ていたのだな?」
「はい。その通りでございます」
「福田殿は国賓なのだぞ! 何故その場で諌めないのだ!」
「申し訳ございません!」
「あ~、王様。その兵士さんに罪は無いですよ?
もし諌めたとしても、身分差を出されて終わりだと思いますし。
何よりも、最初にちゃんと進言してくれましたしね。許してあげてください」
「……福田殿がそう言われるのであれば。
だが、その状況を詳しく話してもらうぞ」
王様は兵士さんから状況を聞いていった。
そしてどんどん顔色が悪くなる。
「何という事だ……。コジマ伯爵……どうしてくれようか……」
「あ~、王様? 手出し無用でお願いしますよ?」
「何故だ、福田殿?!」
「俺の懇意にしている食堂を潰すなんて脅しをしてきました。
あそこの店は来たばかりの俺達に凄く親切にしてくれたんです。
それを潰すなんて言うヤツは、この手で叩き落したいんです。
それに国賓に正面から言ってくるようなヤツですよ?
王様の耳に入るのも想定してると思います。って事は対策もしてるはず。
それ以上の手が打てますか?」
「む、むぅ。確かに。出来て降格くらいだろうな」
「降格ならまだ貴族です。さらに逆恨みして、権力を使って悪い事するでしょう。
それじゃあ意味無いんです。なので根底から潰しますんで。
王様はそれを了承しておいてください」
「わ、判った」
「最後には頼む事になるとは思いますけど。お願いしますね」
「……福田殿、顔が怖いぞ?」
「あれ? そうですか?」
「お、お手柔らかにな? 国には被害が出ぬように頼むぞ? な?」
そんなに怯える事は無いと思うんだが。
あっ、もしかして、ロッツギルが貰った書状の中身と同じ様な物を貰ってる?
だとすると俺の保有戦力も知ってるかも。
なら怯えるのも納得だわ。って一個人なんですけどね。




