福袋
ジジイと別れ、船に戻る。
皆は釣りをしながら待っていたようだ。船が魚だらけ。大漁だったのね。
誰かのアイテムボックスに入れてれば良いのにと言ったら、カンダさんのが一杯になってるという。
女性陣のは?と聞くと、服やら何やらが入っているので一杯だそうだ。
どれだけ服を持ってるんだろう?
しょうがないので俺のマジックボックスに全て入れる。
容量に際限が無いってのは便利だけど、荷物持ちな気がしてくるわ。
早速出発して、コルラド国を目指す。
今回は自動運転にしたので、全員が船から離れられる。
もう釣りをして待つのは飽きたらしいので。
明日の朝に着く様に設定をしておけばOK。
タルーンさんに電話すると、王都に居るという事だった。
このまま船を放置して、全員で王都に戻った。
皆は家でくつろぐそうなのだが、キジマさんだけが付いてくるそうな。
あぁ、交代制の護衛ね。って事でタルーンさんの所へ。
「これは福田さん。今日はどういった用件でしょうか?」
「ちょっと面白い事を思いついたので。
勿論、タルーンさんにも利が在る話ですよ?」
「ほう。どのような事でしょうか?」
「ちょっとダンジョンに行ったら、宝箱から大量の武具を入手しましてね。
タルーンさんが欲しい物があれば、1点1万円で売りますよ」
「は、はぁ。それは良いのですが、面白い事と言うのは?」
「タルーンさんが選ばなかった物に番号を付けるんです。
で、大量の袋を用意して、その中に番号札を入れておくんです」
「その番号の物が貰えるという事ですね」
「ええ。勿論ハズレの番号も用意します。その中には少し損をする程度の物を入れましょう」
「なるほど。それでいくらで売り出すんです?」
「それはタルーンさんが決めてください。俺では価値が判らないので。
あっ、でも中には価値が高い物があっても安めにしてくださいね」
「当たりとハズレを作るんですね。判りました。面白そうですね。
というか、これって、カジノの町にあるガチャと同じですよね?」
「王都ではギャンブルは厳しいんでしょう?」
「そうですね。作るには申請が必要です」
あの王様が来ちゃうからね。
その為にギャンブルは遠くに集めたんだから。
「ガチャはギャンブルですが、これはギャンブルじゃないですよ?」
「では、何です?」
「福袋ですよ」
「福袋?」
「福が入ってる袋だから、福袋。ギャンブルのようにハズレは無いですから。
必ず何か入ってますから。それに賭けるのではなく、袋を買ってもらうんです」
「詭弁のような気がしますが……でも、面白そうですね」
「今回、たまたま大量に手に入ったからするだけなんで、城も大目に見てくれるでしょう。
それに王様は武具には興味ないでしょうし」
「何故王様が?」
あれ? 知られてないのか?
まぁ、王様がギャンブル狂いってのが知られてたらマズいか。
「いえ、こっちの話です。城の方には俺から話しておきますんで」
「判りました。じゃあ鑑定しましょうか」
「お願いします。どこに出します?」
「では奥の部屋でやりましょうか」
タルーンさんの案内で奥の部屋に行き、大量の武具を部屋に出す。
そこでキジマさんからストップがかかった。何だろ?
「これらを売るんですか?!」
「そうだよ? あっ、何か欲しいのがあった?
あるなら取って良いよ。タローから貰った物だから」
「ありますよ! 他の者も呼んであげてください!」
「そりゃそうか。電話するよ」
皆が集まり物色し始めた。
タルーンさん? 何故か固まってるよ?
あっ、予想外に価値が高かったので驚いてるのか。




