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宝箱の中身

ロッツギルに戻ったら、ジジイはやっと安心したようだ。

今は必死に呼吸を整えている。

落ち着いたかと思ったら、今度は俺に迫ってきた。


「福田君! 何じゃね、あれは!」

「ミノとケンとドラですよ」

「略すな!」

「だから、聞かない約束でしょ? 誰が聞いてるか判らないか略したんですよ」

「そうかもしれんが……。ワシは心臓が止まるかと思ったわい」

「大丈夫ですよ。危険はありませんし」

「危険しかないわっ!」

「そうですか?」

「ワシ、福田君が判らないわ……」


だから、女性が言いそうな言葉をジジイが言うなって!

ドラマとかで女性が男性に言う言葉だろ、それ。


「そんな事よりも、何が良いか選んでくださいよ。

 俺には良し悪しが判らないんですから。王、いやジジイが頼りなんですよ?」

「何で王をジジイに言い直した? 王で良くね?」

「いや、今は威厳が無いから……」

「威厳を無くしたのはさっきのせいじゃぞ?」

「良いから! さっ、選んで選んで」

「全く……」


貰ってきた物を部屋に広げる。

武器や防具がほとんどだな。

まぁ、安物はダンジョン内に出すって言ってたから、そこそこの物ばかりだと思うけど。


武具じゃない物は5点だけ。

その内の3点は本だ。

ペラペラと見てみたが、どうやら魔法の書のようだ。

内容からいって、中級の本かな?

でも古いんだよね。載ってる魔法も少ない。

これは渡されても困るだろうから候補外だね。

ノートルダムにでも持っていこう。


武具の内訳はこうだ。

剣・・・41点

盾・・・36点

鎧・・・23点

篭手・・18点

兜・・・11点

弓・・・8点

斧・・・3点

はさみ・・・1点


このはさみってのが謎だ。

デカいんだよね、コレ。

長さは1mくらい。両手で動かすとシャキンシャキンと良い音がするけどさ。

これを武器として持ってたヤツは変だと思う。

この世界にはシザーマンが居たのか?

ただ、持ってシャキンシャキンしてると楽しくなってくる。

ゲームの中のシザーマンが、スキップしてたのも判るな。

って、呪いの武器じゃないよな、コレ。


ジジイはこの中から鎧を選んだ。

いわゆるフルプレートってヤツだ。

ダンジョンでこれを着てたら、音で敵が寄ってきそうなヤツ。

しかも重たい。よくこんなの着てたな。


「これで良いんですか?」

「これなら文句言われないじゃろ。作りは年代物じゃが、全てミスリルで出来ておるよ」

「ほうほう」

「それに鎧なら中に『門のシール』を貼っても目立たないじゃろ?」


なるほど。

よくある貴族の家にある、飾りの鎧みたいにするのね。


「これ、もし売ったらいくらくらいになりそうですかね?」

「う~ん、これくらいの物だとオークションじゃろうな。

 安くて1000万くらいじゃないじゃろうか?」

「高い!」


やっぱり俺には芸術は判らないわ。

こんな装備も出来ない物に1000万とか、ありえないわ~。


余った物はタルーンさんにでもプレゼントしようかな。

あっ、でも受け取れないって言われそうだ。

そうだ、カジノの町で売るかな。

商品を見せずに、福袋みたいにして、1袋1万とかで売るか。

うん、面白そうだ。

タルーンさんと相談しよう。

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