戦い方指南
Cなんだが、何と落とす必要は無かった。
他の2人を懐柔した事で、勝手に尊敬してきたのだ。
拍子抜けだが、これで色々とやりやすくなるだろう。
とりあえず道中の護衛の仕方や、編成等を教える。
勿論指導はヒヨ監修である。
俺は聞いた事をそのまま伝えるだけの、簡単なお仕事です。
色々聞いてると、俺も勉強になるし。
次は戦闘。
この芸術のダンジョンは1階でもレベル15クラスのモンスターが出る。
オオキの村のダンジョンのように子供は入れないレベルだ。
ちなみに、、、
ABCから聞いた話だと、聖王国はこのダンジョンも狙ってるらしい。
5階に神を象った像があるそうで、それがダヒュテムだと思ってるそうな。
アポロンが作ったダンジョンなので違うと思うんだけどな。
話が逸れた。
1階で出るモンスターだけど、芸術のダンジョンと言われるだけはある。
スライムのようなモンスターが出たんだが、顔があるのだ。
その顔はムンクの叫びみたいな顔をしている。
これが芸術か……うん、理解出来ない。
俺が思う芸術ってさ、多数の人が心から凄いと思う物だと思うんだ。
誰かが高額で購入したとか一部では絶賛では芸術じゃ無いと思うんだよね。
ついでに言えば高額だから凄いっていう他人任せの評価も違うと思ってる。
だからって少数の人が良いと思う物がダメって事ではないよ?
個人的な価値観の話だから。
だからピカソの絵なんかは高額と言われても納得出来ないんだよね。
100円でも要らないわ。邪魔だから。
何が腹立つって、それを「何が良いのか判らない」と言うと「芸術が判らないやつだ」と評価される事。
「芸術が判らないやつだ」って言うやつは、本当に心から良いと思ってるのか知りたいね。
それが「高額=良い」とか「偉い人が良いと言ってるから」とかが多そうなので腹が立つんだよ。
おっと、また話が逸れてしまった。
そのムンクスライム(俺が勝手に命名)はレベル15だ。
ABCは聞いた所、レベル13だという。
何とかなりそうな敵だ。パーティーで挑むなら問題無いだろう。
早速ヒヨから指示が出るのでそれを伝える。
「まずは遠距離攻撃だ! B、やれ!」
「はい! 『ファイヤーアロー』!」
「A! 着弾と同時に攻撃に移れ! Cは周囲を警戒しながらAと共に攻撃だ!」
「「はい!!」」
こんな感じで指示を出している。
俺は何も考えてない。
拡声器のようなものだ。楽チン。
「AはCと代われ! その合間を狙ってBは魔法攻撃!」
「は、はい!」
「Aは警戒しながら一時離脱。またCと交代するぞ、油断するな!」
「はい!」
「よし! 今だ! とどめを刺すにゃ!」
「「「にゃ??」」」
思わずそのまま言ってしまった!
恥ずかしい!!
誰だ、ヒヨににゃを付けろって言ったヤツは!
全員が固まってコッチを見てるじゃないか!
よく見ればモンスターまで「何言ってるんだコイツ」みたいな目で俺を見てる気がする。
気にせずにとどめを刺せよ!
しょうがないので俺が『フリーズアロー』を撃ってとどめを刺した。
「あの~、今の『にゃ』ってのは……?」
「戦いの最中に集中力を切らすとは、まだまだだな」
「いや、『にゃ』ってのは……」
「最後に力を振り絞って反撃してくるヤツも居る。最後まで気を抜くな」
「いや、『にゃ』……」
「それまでの連携はまあまあ良かった。あの感じを忘れるなよ」
「「「……」」」
よし、うやむやにしたぞ。
俺はにゃ何て言ってない。そう、言ってないのだ!




