試験開始前
話は逸れたが、いよいよ試験の始まりだ。
えっ? 逸れたのは俺達のせい? 気のせいだよ。
聞いた所によると、今回の試験は青色冒険者が一つ上の緑になる為のものらしい。
つまりここに居るのは全員が青色冒険者って事だ。
つまりはひよっこって事だね。
まぁ、ラノベによくある異常に強いのも居るかもしれないが。
そもそもさぁ、青色だからって弱いとは限らないよね。
レベルが50とかになってからでも、初めて登録すれば青色スタートになるんだから。
冒険者としての実績が無いから、いきなり赤色とかに出来ないもんな。
そんな事はギルドに所属してれば誰でも知ってる事実。
なのに、新人だからって絡むバカが出てくるのが不思議。
まぁバカなんだからだろうけど。俺も絡まれた事あるし。
って、あれは新人だからじゃなかったな。
ただのゆすりだった。
もう1回あったけど、あれは何が原因だったっけ?
もう覚えてないや。バカ相手の事なんかいちいち覚えて無いわ。
バカは、15歳くらいのやつが青色だと強くないって思うのだろうか。
10歳くらいから鍛えてたとか想像出来ないかな?
バカが絡むのがテンプレで、主人公の強さアピールで書くのかもしれないけど、回避出来ない主人公がバカに見えるんだよね。
もう少し頭を使えって思っちゃう。
おっと、それどころではなかった。
昇級試験が始まるんだった。
最初はクズハさんの話から始めるようだ。
しかしケンゴさんじゃないんだね。
尻に敷かれてるのだろうか?
「静かに! 今から緑への昇級試験を始める。
今回は1泊2日で行い、場所は芸術のダンジョンを使用する。
君達は4人1組のパーティーを組んでもらい、ダンジョンの1階の奥に置いてある石像にこの札を置いてきてもらう。
ここまでで質問はあるか?」
そういう感じでやるのね。
そのパーティーを俺達が引率するんだろうな。
だから人数が必要なんだろう。
質問があるかと言われたので、俺が手を挙げようかと思ったが自重した。
試験官が質問したらおかしいもんな。
それに結構手が挙がってるし。
「そこの君」
「はい。僕達は4人でパーティーを組んでいますが、そのままで良いんでしょうか?」
「いや、バラバラになってもらう。
実際知らない人と組む事もあるので、そういう所もチェックするので」
あ~、既存のパーティーではやらせないのね。
パーティーでの連携とかもあったろうに。バラバラにされるのは大変だな。
俺達の場合は、バラバラになった場合はコタニさんだけが若干不安かな?
まあレベルも高いし魔法も使えるので大丈夫だろうけど。
カンキジはバラバラでも安心出来る。ナグラさんは魔法も使えるし、近接戦闘の技術も持ってる。
俺? 運だけで回避しますよ。
「次は君」
「はい。審査は何を見るのですか?」
「詳しくは話せないな。だが少しは教えても良いだろう。
例えば戦闘。連携は出来ているか、自分の役割を全う出来ているか、パーティーを危険にしてないか、等だ。
それ以外では移動時。警戒しているか、野営の準備はどうか、必要な物を持ってきているか、等だ」
ヤベぇ事を聞いてしまった!
戦闘を評価するのは良い。
それ以外も評価しなければならないのか?!
俺のやり方は……?
だって移動は常にスライム付きの馬車で危険無し。
野営はせずに家に『コネクト』で帰って、ベッドで就寝。
必要な物はマジックボックスの中。忘れても『コネクト』で取りに帰る。
……審査、ムリ。
これは問題だ!
後で相談しなくっちゃ!!




