ギルドへ
今回は10分ほど時間がかかったが、軍船から返信があった。
「本当にニーベル国の福田殿か?!」
「本当だ!」
あれれ、いつの間にか殿呼びされてるし。
事実なら敬意を示さないとって所かな?
「では、こちらの問いに答えて頂きたい!」
「了解した!」
「王様が褒美を渡そうとしたが断られましたね! その時の報酬とは何でしたか?!」
なるほど。
確かあの時は客間で王様と会話をしたはずだ。
って事は、知っている人間はかなり少ないだろう。
これに答えられれば、あの時の俺と証明出来るって事なのね。
俺はカンダさんに回答を教える。
自分で言えって? いやいや、交渉相手が変わるのは良くないですよ。
ええ、そうです。決して大声を出したくないんじゃないんです。
「報酬は孫のアイ様でした! しかし断り銘菓詰め合わせを貰いました!」
「確認した! 間違い無いようだ! 失礼しました! お通り下さい!!」
こちらこそ、連絡もせずに突然訪問してすみません。
その軍船の後ろを付いていって、やっと入港した。
するとさっきの軍船から1人、誰かがやってきた。
どうやらお偉いさんのようだ。船長さんかな?
「先ほどは失礼しました。私は海軍の総督をしておりますキムラと申します」
「総督ですか?!」
「はい。不肖ながら勤めさせていただいております」
「これは……こちらこそ失礼しました」
「いえいえ。王様と懇意にされているお方と聞いております」
「ちなみに、それはどなたから聞きました?」
「近衛団長です」
やはり……。
あの人なら色々と詳しそうだしね。
今でも姫様に振り回されているのだろうか?
いやいや、そういう事を考えるとフラグが立ってしまう。
早々にダンジョンに向かうとしよう。
「ではキムラ総督。自分達はダンジョンに向かいたいと思います」
「ちょっとお待ちください。
この国のダンジョンの事をご存知ですか?」
「近くに『芸術のダンジョン』って言われるのがあるのは知っています」
「では入り方は?」
「入り方?! 何か儀式でもあるんですか?」
「いえいえ、そうではないんです。冒険者ギルドで許可を取らないと入場出来ないんですよ」
何と! 許可制だったのか。
じゃあ冒険者ギルドに行かないといけないな。
「じゃあギルドに行ってみます。ええと、場所はどこでしょう?」
「先ほどの無礼のお詫びを兼ねて、私が連れて行きましょう」
「えっ?! 場所を教えてもらえれば勝手に行きますよ!」
「そういう訳にもいきません。私が王様に叱られてしまいます」
「そ、そうですか。ではお願いします」
「はい。では今馬車を手配するので、少々お待ちください」
こうして、キムラ総督に案内してもらう事になった。
この国の海軍で一番偉い人なんでしょ? 大変申し訳無い。
少し待つと、結構な高級っぽい馬車が到着した。
皆で乗り込み移動する。
ギルドは町から少し離れた場所にポツンと建っていた。
「ここがギルドです。
ダンジョンはここから少し林の中に進んだ所にあります。
では私はこれで失礼します。あっ、これは私の推薦状です。
これをお持ちください」
「ありがとうございます」
色々気を使って、申し訳ないなぁ。
皆で馬車を降りて、ギルドに入る。
これが年内最後の投稿です。
読んで頂き、ありがとうございました。




