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神様の心証

「話が逸れたけどさ、そういう事で地球で有名な人が多いんだよ。

 何なら、アポロンを紹介しようか?」

「いえっ! 結構です!」

「結構と言うのはプラスの時に使う言葉だね。

 という事は紹介して欲しいって事だね」

「何を悪徳販売みたいな事を言ってるんですか! 判ってるでしょ?!」

「まぁ、アポロンには話してあるんだけどね」

「えっ? 何で?」

「だってコアを取った時に顕現したでしょ?

 アレがもし福田君って知らなければ、困るでしょ?

 福田君かな~? 違うのかな~? まぁいいや、聞くのも面倒だから呪っとけ! ってなったと思うよ?」

「雑ですねっ!」

「そうなんだよね~。彼は雑なんだよ」


何て適当な事をする神様だ。

これなら紹介してもらっておいた方が安全か?

いや、でも、また面倒な事になりそうな気がする。

ここはあえてスルーするとしよう。


この時、アポロン神と会っていればあのような事にはならなかったのに。

この時の俺は気づかなかった……。


な~んて事にはならないだろ。

大丈夫大丈夫。


「誰かも判明しましたし、今日はこれで失礼しますね」

「あれっ?! 本当に会わないの?」

「ええ」

「じゃ、じゃあさ、ロッツギルって国にあるダンジョンに行ってみてよ!」

「何です? 突然に」

「そのダンジョンは、その世界で唯一、アポロンが担当して作ったダンジョンなんだ。

 それを知ってわざわざアポロンの作ったダンジョンを訪れたなんて、本人が聞いたら喜ぶからさ!」


むう。

確かに心証は良くしておいた方が得だろう。

会う事は無いだろうけど、心証が良ければ何かの時に助けてもらえるかも。

それにダンジョンのドロップ品には興味がある。

ロッツギルはあまり滞在しなかったからな。行ってみるか。

あっ、姫様に会わないように気をつけよう!


「判りました。大体の用事は終わったので行ってみますよ」

「うんうん。そのダンジョンの名前は『芸術のダンジョン』って言われてるから。

 南部の海沿いにあるから、船でも行く事が出来るよ」

「情報感謝します」


こうして次の予定が決まった。

晩飯の時に、皆にロッツギルのダンジョンに向かう事を話す。

誰も反対はしなかったが、やはり姫様には気をつけようという話は上がった。


翌日、一応サガワさんには連絡する。

ダンジョンがオープンしたばかりだから、何か不具合があればまだ離れられないからね。


「ダンジョンギャンブルの様子はどうですか?」

「順調ですね。

 最初は周辺の町や村の冒険者ギルドに参加の依頼を出してましたが、既に噂になっているようで依頼以外でも集まってきていま


す。

 この調子なら、依頼を出さなくてもよくなりそうです。

 集客も問題ありません。王様まで来たと評判になってまして、満員御礼ですよ!」

「良かったです。ダンジョンの方は問題無いですか?」

「ええ。今の所、何も問題は起きてないですね。

 あぁ、1組だけ迷子になって排出されたくらいです」

「迷子が出ましたか」

「と言っても、本当になりたての冒険者でしたので。

 誰にも習ってない、素人のような者でしたから。

 賭けた人から怒られてヘコんでましたね」

「そりゃヘコむでしょうね。そういう教育をする機関でもあれば良いのかな?」


冒険者を育てる学校みたいな?

バトラーギルドがやってるようなのを作る?


「いえいえ、そこまでの必要は無いですよ。

 冒険者に限らず、大人は自己責任ですから。

 誰にも師事せずに挑んだのですから、本人達が悪いのです。

 それに彼らは運が良かった。このダンジョンでは死ぬ事は無いですので。

 普通のダンジョンなら、迷子になった時点でほぼ人生終了ですよ」

「そ、そうですか」

「ところで、今日は?」

「あぁ、ちょっと町を離れる用事が出来まして。

 離れても大丈夫なのか確認しようと連絡しました」

「そうですか。こちらは気にせずに行動してください。

 それに、何時でも連絡がつくコレがあるので安心です」


そうだよね。電話があるから、何かあったら連絡出来る。


「じゃあ、ちょっと行ってきます」

「お気をつけて」


よし! じゃあロッツギルへ移動だ!

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