神様の事情
式典も終わり、賭けを買いたがる王様をまた簀巻きにして家に帰る。
さっさと城へ戻して、俺は1人で部屋に戻る。
タブレットを取り出して、仏様に連絡する為だ。
「はいはい、仏です」
「ほとけー! ほとけー!」
「その呼び出しは仏専用だから使っちゃダメ!」
「え~、たまには良いじゃないですか。じゃあ見えませんって言った方が良いですか?」
「あぁ、それで日食を見る為のメガネを装着ね」
「あれ? ヒーローの7のメガネじゃないんですか?」
「個人的にはセカンドシーズンが好きなんだ」
「自分はやっぱりファーストシーズンですね」
「確かにファーストシーズンも捨てがたいね」
「って、某テレビドラマの話をする為に連絡したんじゃないですよ!」
「え~、自分で振っておいてさぁ。で、何の用なの?」
「今日、ダンジョンをオープンさせたんですけど、知らない神様が出てきましたよ? 誰です?」
「あぁ、ちょっと地球に用事があったから代理で出てもらったんだ」
地球に用事か。
今でも地球の神様なんだから、そりゃそっちが優先でしょ。
で、誰なのさ。
「彼はね、現在のそっちの世界の管理人だね」
「えっ?! そうなんですか?!」
「そうだよ。ヒマそうだったから働いてもらったんだ」
ヒマそうって……。
確かに神様って、世界を作ったら基本的には何もしないんだろうけどさ。
で、結局誰なのさ!
「管理人なのは判りましたが、結局誰なんです?」
「知ってるかなぁ? アポロンって言うんだよ」
「アポロン……聞いた事はあります。どういう神様なんです?」
「えっと、太陽神だよ。地球ではオリュンポス十二神の1人に入ってたかな?」
「あ~、それも何となく聞いた事があります」
「ちなみに、オリュンポス十二神は全員、今そっちの管理人だから」
「マジですか?!」
「と言っても、12個の世界を12人で纏めて管理してるだけなんだけどね」
それにしても、地球で聞いた事のある神様が多いな。
知らないのはダヒュテムくらいだぞ?
どうなってるのだろうか?
「何で地球で知られている神様が多いんですか?」
「世界を作る時には、結構総出で作るんだよ。まぁ、最近はコンピューターを導入したからそんな事は無くなったけど。
で、地球は初期の頃の世界なんだよね。
当時は皆も若かったからさ。自分の功績を残そうと、その世界に自分の名前とかを書き込みしたりしてた。
これがバカでさ、目立つように書き残したんだよね~。お陰で人類に即バレ(笑)」
「それって笑い事ですか?」
「いやいや、そこからが、さらにバカな話だから。笑えるよ?
バレた事が閻魔様とかゼウス様に気づかれたらヤバいってんで、当時の偉い人間の前に顕現したんだ。
『俺達の事はナイショにせよ! 誰にも喋るな!』って言う為にね。当然、誰もナイショにする訳が無い。
確かに誰にも喋らなかったけど、文章に書き残したんだよ。
偉い人間の書いた物だ。誰もが真実だと思った。お陰で有名人さ!」
う~ん、何というか。バカな話だ。
神様達は、白い壁を見るとスプレーで落書きするガキですか?!
それで自己主張するっていう、低レベルの集まりですか?!
バカッターの仲間ですか?!
ん? 待てよ? 仏様も有名なのだが。
オリュンポス十二神なんかより、超有名なんですけど?
「仏様も参加したんですね?」
「……テヘッ」
テヘペロしたって可愛く無い!
どうりで詳しいはずだ。だって参加者だもん!
う~ん、結局、神様にはマトモな人は居ないって事なのかね。




