建設現場
本が完成するのに2週間くらいかかるらしい。
ならば、1度カジノの町に戻った方が良いかもしれない。
新しいギャンブル場が完成してるかもしれないしさ。
完成してたらダンジョンを作るという俺の仕事が待ってる。
カジノの町に戻ると、俺宛の伝言が残されていた。
相手はサガワさんで、帰ったら電話をして欲しいという物。
サガワさんに電話をすると、すぐに迎えに行きますとの事だった。
少し待つと、サガワさんが馬車に乗ってやってきた。
そのまま今度はサガワさんにドナドナされる。
どこへ行くのかと思えば、建設現場だった。
「どうです? ここまで完成しましたよ!」
「凄いですね!」
「魔法道具も奮発して沢山使う予定になっています」
「へ~。どういう物があるんですか?」
「遠くの物を拡大して見せる鏡、オッズ等を見せる掲示板、自動計算機、等々です」
凄いな。現代日本並みじゃないか。
仕組みはさっぱり判らないが、優秀な物なんだと思う。
そもそも、日本に有る物だって、仕組みは判らないけど使ってるからね。
「後は福田さんにダンジョンを作ってもらうだけなんですよ」
「そうだったんですか?! だったら電話してくれれば帰って来たのに」
「セキハイムの王からの依頼と聞いてましたから。さすがに呼べませんよ!」
「そんなもんですか」
「いくら他国とは言え王族ですからね。私も商人ですから王族の機嫌を損ねる訳にはいきませんよ」
まぁ、関税を高くされても困るだろうしね。
それに向こうは王様の依頼だが、こっちはどちらかというと冒険者ギルドだ。
優先度が違うか。
「で、あそこに作ってもらいたいんですよ」
そう言われて案内されたのは、少し高い丘のような所だった。
なるほど、ここからだと観覧席が良く見える。
これならレースも見えるし、不正もしにくいだろうね。
「判りました。じゃあ後でやっておきます」
「今しないのですか?」
「さすがにダンジョンを作る方法は秘密なので。誰が見てるか判りませんからね」
「そうですか。見てみたかったのですが、そういう理由であれば仕方ないですね。
ではお願いします。あっ、これは建設現場に出入りする為のパスなので、お持ちください」
「判りました。判りやすいように首から下げておきます。
じゃあやっておきますので」
「よろしくお願いします。私は建設現場に居るので、帰る時には呼んでください」
サガワさんは建設現場の方に帰っていった。
さすがに神様を呼ぶのを見せる訳にはいかないでしょ。
ちょっと申し訳無いが遠慮してもらおう。
人目が無くなったので、早速仏様に連絡する。
携帯電話でもOKって言ってたな。あぁ、ちゃんとアドレス帳に入ってるわ。
仏様を選んで通話を押すと、すぐにプルルルルと呼び出した。
「はいはい、仏ですけど」
「どうも仏様、福田です」
「ええっ?! 福田君?! ちょ、ちょっと待って!」
電話が切れた。
都合が悪かったのだろうか?
後でかけ直したほうが良いかな?
って考えてたら、大森林の方から走ってくる人が。
誰かと思えば、仏様じゃないですか!
「仏様?!」
「ゼー、ゼー、ちょ、ちょっと待って……。久々に……走ると……疲れるね……。
やっぱ……仏も、さ……年には……勝てないよね……」
「走って来なくても良かったんですけどね」
「急いだ方が良いだろう? 良し、落ち着いた!
では。ヴッヴッン。 テツジー! テツジー!!」
「いや、目の前にに居ますから!」
「様式美だよ。様式美」
「様式美とか言うのであれば、服装もちゃんとしてくださいよ!」
今現在の仏様の格好は、ボツボツ頭のカツラを前後逆に被っている。
上には法衣を着ているが、下がTシャツジーパンなのが見えてる。
慌てて着てきたのが丸判りだ。
額のポッチも忘れてるしさぁ。それじゃあ仏ビームが出せないぞ?




