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レベルって

やっとキジマさんが復活した。

結局1時間も休憩する事となってしまった。


「ご迷惑をおかけしました……。どうしても虫はダメでして……」

「いや、あれは俺もダメだ。虫系のモンスターを甘く見てたよ」


あれは怖い。夢に見そうなレベルだ。

思い出しただけで寒気が……。


全員の気分を変えるために、コンロでお湯を沸かして紅茶を作る事にした。

せっかく買ったんだし使わないとね。

作ってから気づいたよ。コップが無い……。

何故コップを買う所まで頭が回らないの? バカなの? 死ぬの?

落ち込んでいると、キジマさんがコップを差し出してくれた。


「私はコップを持ってますから。2個あるので、交代で使いましょうよ」


冒険者たるもの、野営に必要な物は常に持っているそうだ。

さすが赤色、優秀だなぁ……。

コタニさん? 当然、売っていて持って無かったよ?


交代で紅茶を飲んでいると、さらに自分のバカさが見えてくる。

砂糖が無い。ミルクが無い。スプーンが無い。使い終わったティーパックを捨てるゴミ袋が無い。

はっきり言って、ある物の方が少ないだろう。情けない……。

俺は手帳を取り出して、買う物リストを作って書いておいた。

こうしないとまた忘れるから。本当は今すぐにでも買いに行きたいぐらいなんだけど。


今はとにかくレベル上げだよね。

あれっ? RPGのつもりで考えてたけど、レベルってそもそもどうやったら上がるの?

RPGのように経験値? でもステータスに経験値の表示が無いぞ?

ここは恥かくのを覚悟で聞いてみよう。


「5階に挑む前に、ちょっといいかな?」

「なんでしょう?」

「いまさらだけどさ、皆、レベルいくつ?」

「本当にいまさらですね。普通は契約する時に聞くものなんですよ?」

「そういうものなの?」

「はい、レベルで契約金が変わりますから」

「なるほど! それは知らなかった!」

「……福田さんはどんな生活をしてたんでしょうね。私はレベル42です。カンダは47です」

「私は16っスね。あまり上げてなかったっス」

「福田さんはいくつなんですか?」

「……4」

「えっ?よく聞こえませんでした。24ですか?」

「……4です」

「……本当に福田さんはどういう生活をしてたんですか?! 箱入り息子ですか?!」

「戦闘なんかした事無かったんだよ!! しょうがないじゃないか!!」

「4なんて子供の頃になった覚えがあるっス……」


全員が驚愕の表情をしている。

俺は心に大ダメージだよ……。

アサイさん、せめて10くらいで送ってほしかったよ。


「俺が4なのはもういいじゃないか! で、どうやったらレベルって上がるの?」

「それも知らないんですか?!」

「一般常識なの?」

「そうですね。ナミちゃんでも知ってると思いますよ?」

「そうなのか……」

「ま・まあ知らない事は誰にでもあるっス! 覚えれば良いだけっスよ!!」

「そ・そうですよね。レベルはレベルに応じた敵を一人で倒すと上がります。

 例えば、スライムはレベル2のモンスターです。これを一人で大体10匹くらい倒せばレベル2になれます」

「同等になったって事っスよ!!」

「このダンジョンで言えば、コウモリがレベル4ですね。あれっ? もしかして……」

「はい、コウモリを倒してレベル4になりましたよ? それが何か?」

「いっ、いえ! なんでもありません!! そのようにレベル3のモンスターを倒さなくても4には上がれます。

 ビッグベアーはレベル10なので、一人で倒せば10になれますよ」


大人の平均がレベル10って聞いたけど?

平均的な大人はビッグベアーを1人で倒せるんですか?!

この世界の大人って強いんですね……。


「5階のモンスターは3階のモンスターと同じだけど、レベルの高いモンスターですよ!

 ここでレベル上げたら良いと思います!」


カンダさん、良い事言った!

だからその哀れんだような目で見るのはやめよう。全員な!

飛び級が出来るなら、ここで一気に10台に乗せてやるぜ!


俺は『レベルの高いスライムが出て来い! あっ、迷路は迷わない方向で!』と祈りながら進む事にした。

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