セキハイムの王
そういえば、城も不動産の部署にしか行った事無かったなぁ。
そんな事を思いながら、馬車に乗っています。
はい、そうです。ギルドマスターと乗ってるんです。
あの後、すぐに馬車に押し込まれました。
ドナドナ状態です。売られて行くのでしょうか?
馬車が止まったので窓の外を見ると、城に到着したようだ。
兵士が来て、ここで降りろと指示している。
ギルドマスターと一緒に馬車を降りると、兵士が驚いていた。
あれっ? 有名人ですか?
ってそりゃそうか。マスターって言われるくらいだもんな。
喫茶店のマスターとは違うよね。
ギルドマスターが何か2・3言兵士に話した後、その兵士に付いて行くことになった。
勿論俺もだ。
そのまま顔パスで城へ入っていく。
ボディチェックとかしなくて良いのかな?
まぁ武器はマジックボックスの中だから見つからないけどさ。
隠してナイフとか持ってたらどうするんだ?
そのまま俺達はズンズンと城の奥へと進んでいく。
これって、このまま王様に会うパターンですよね~。
話が早くて助かるけどさ。
たださぁ、何も考えてないんだよ。
そう、依頼の内容。『セキハイムで国技としてのギャンブルを作りたい』だったっけ?
そもそもさぁ、国技をギャンブルにしちゃあいけないと思うんだ。
前世でもそんな国は無かったぞ? 多分。
日本で言えば、相撲の勝敗を賭けるって事だろ?
怒られるわ! いや、賭博罪で捕まるか。
何て考えてたら、豪華な部屋に通された。
そこには一人のおっさんが。
あっ! 頭に冠が! 王様だね!
初めて見たよ、冠を被ってる王様を!
この世界、王様っぽくないのが多かったもんね! ニーベル国とかノートルダムとかニーベル国とかニーベル国とか。
「冒険者ギルドのマスターと、福田様をお連れ致しました」
「ご苦労であった。下がってよい」
「ははっ!」
兵士の人は、頭を下げて帰っていった。
王様なら俺達も跪かないといけないんじゃないか?
「ささっ、2人共座ってくれたまえ」
「失礼します」
あらら、ギルドマスターはさっさとソファに座ったよ。
良いのかな? 俺だけ立ってる方が失礼か?
しょうがないので、ギルドマスターの隣に座る。
「まずはオタベよ、良くやってくれた。こんなに早いとは思ってなかったぞ」
「早かったのは、福田様のお陰でしょう。私は依頼を受けただけです」
「相変わらず堅いな、オタベよ。ワシとの仲ではないか」
「同級生とはいえ、今では身分が違います」
「今は3人しか居ないのだから、問題無いだろう? なぁ福田君よ」
「えっ? あぁ、まあ、そうですね」
いきなり俺に振らないで欲しい。
へ~同級生なんだ~、じゃあ同じ年か~、とかボーっと考えてたから焦るでしょ!
「ふう。では、ギルドは依頼達成という事で良いかな?」
「いえ、依頼では国技を作る所までとなってます。
福田様が到着しただけでは達成にはなりませんので」
「そこはおいおいだろ。依頼の出し方を間違えたかな?」
「呼び寄せるだけでは来てもらえなかった可能性がありますので、内容まで伝えたのは良かったと思います」
確かに。
「王様が呼んでるから、セキハイムへ来い」だったら、行かない可能性は大だ!
だって面倒だもん。
警察の件が王様の耳に入ったのか?とか思っちゃうし。
それに行かなくても問題にはならないと思うんだ。
いざとなれば、各国の王様に助けを求めるし。
「さて、では本題に入ろうか。
福田君には国技になるような競技を考えてもらいたい」
「質問して良いですか?」
「かまわんよ」
「何で俺なんですか? それに、何で競技をギャンブルにするんです?」
「答えよう。君を選んだ理由だが、ギャンブルで優勝したのが1点。
各国の王と親交があるというのが1点。この国の人間では無いのが1点。そんな所かな?」
「どういう事です?」
「ギャンブルで優勝するような人間だ。ギャンブルには精通しているだろう。
まだ無いギャンブルを考えてもらいたいんだから、精通している者を選ぶのは当然。
各国の王と親交があれば、その国のギャンブルも知る事が出来る。
最後にこの国の人間で無ければ、貴族が邪魔出来ない。こんな感じだ」
なるほどね~。
ちゃんと考えられて選ばれたんですね。
問題は、ギャンブルに全く精通してない事なんだけどね!




