私の為に争わないで
翌日。
城へ行くと、既に全員が待っていた。
そう、王様・ヌマタ卿・ネモト卿の3人だ。
「福田君、面白い事始めたそうじゃないか」
「そうですけど、王様には関係無いよ」
「何でよ?! ワシ、この国の王様だよ?!」
「いや、ギャンブルの話なんで、王様には判らない話でしょ?」
「ワシほど判る者はおらん!」
「ウソだね。それが本当ならそんなに弱くないハズだもん」
「……拗ねるよ、ワシ?」
「拗ねててください。と言うか居なくとも良いのですが」
相変わらずヌマタ卿は、辛辣だな。
こっちが王様でも不思議じゃないくらいに。
「え~とですね。今回冒険者ギルドから話がありまして……」
俺はまた内容を説明する。
「なるほど。誰にも損が無いですね」
「それで国にはどんな関係が?」
「そこの護衛と管理をお願いしたいのですよ。
絶対に入ろうとする人が出るでしょうし、不正をして儲けようとする人が出ると思いますので」
「あぁ。袖の下を貰って有利にしようとするバカとか、賄賂を要求する貴族とかですね」
「そうです。物がダンジョンなので、簡単にはイジれませんがそれでもしようとする輩が居るハズです」
「そうですね。しかし維持費はどうするのですか? また王の財産を使いますか?」
「おい! 何でワシの懐から出さないといけないんだ!」
「それくらいしか役に立たないからですよ」
ヒドいな。
日本みたいに居るだけで良いって事もあるじゃないか。
「維持費についても考えてあります。
えっとですね。例えば1口1000円で賭けれるとします。
その内、実際の掛け金は700円とします。残りの300円の内、100円を国に渡します。
残りの200円は維持管理費と優勝賞金にします」
「当てた場合は?」
「700円を当てた人数で割ります。
全部で1000万購入されたとした場合、700万ですね。
70人が当てたのなら、700万÷70=10万円が配当となります」
「あぁ、競馬とかと同じ方式にするんだな」
「おぉ! 王様は知ってたか」
「失礼な! それぐらい知ってるわ!」
これだと損が無いんだよね。
当たれば儲かるので、買った人は気づきにくいしさ。
「なかなか考えられてますね」
「いやぁ、サガワさんっていう経営のプロが居ますんで。詳しくは彼に聞いてください」
「サガワ! 王都でも有名ですよ、彼は」
「そうなんですか!」
さすがサガワさんだ。
敏腕だもんな。カジノの町だけで収まるような人じゃないよね。
俺を持ち上げる事だけが問題だけど。
あっ、サガワさんで思い出した。
「そうそう、領主とか町長にはまだ話をしてないんですけど」
「判りました。では行きましょうか」
「へ? どういう事ですか?」
「私が行って話をしましょう。ついでにギルドマスターやそのサガワとも話しましょう」
「いやいや、ネモト卿! 国政は?!」
「私が数日居なくても大丈夫ですよ」
「待て待て、お前が居ないと困るだろう。ここは俺が……」
「ヌマタ卿でも同じじゃないですか?!」
「いや、軍務こそ俺が居なくても大丈夫ですよ。それに護衛とかの話でしょうし、俺の方が適任です」
「いえいえ、予算の話もありますから、私が行きますよ」
「お前達は国の仕事をしてくれ。ワシが行ってこよう」
「「王は黙ってろ!!」」
怒られる王様。争う2トップ。
何だコレ。




