前世の福田
その日から3日間、色々なアイデアをギルドに持って行ったが、全部却下された。
冒険者によるトライアスロンとか良いアイデアだと思ったんだがなぁ。
後は闘技場。そこでバトルしてもらい、一般の人は優勝者を予想する。
場所が無いって却下されたんだよな。予算も無いって言われたし。
怪我したら回復が難しいってのもあった。まあエリクサーが一般的じゃ無いからね。
はっきり言って、ネタ切れです。
いいじゃん、護衛任務だけでさ!
詳しく聞くと、どうも最近、一文無しになった冒険者が盗賊になるケースが増えてきているらしい。
ギルドに来ても儲かる仕事が無いのも要因の1つのようだ。
そりゃ、護衛してくれる人は、一見さんよりも知ってる人の方が良いもんな。
なかなか護衛にも着けない、でも金が無い、武器はあるとなれば、盗賊でもするか。
事情は判ったが、だからと言って良いアイデアが簡単に出る事も無く。
それとなくネモト卿にも聞いてみたが、是非考えてくださいと言われた。
いざとなれば国がバックアップしますので、とまで言われた。
盗賊の国なんて言われたくないよね。
しかし、俺はアイデアが欲しかったのだが……。
部屋でゴロゴロしながら、新しいアイデアを考える。
う~ん、何も思い浮かばないわ。
「ヨシ、いや、テツジ~、テツジ~」
「あの~、仏様。空に出ずに直接部屋に来るなら、呼ぶ必要無いですよね?
と言うか、突然来ないでくださいよ!」
「ゴメンゴメン。ちょっと報告があってね」
「報告ですか?」
「そう。ダヒュテムの処理、いや、罰が決まったからね」
「今、処理って言った! 処理って!」
「気のせいだよ、気のせい。
アイツはね、禁固1000年になりました」
「1000年?! 無期懲役じゃないですか!!」
「まぁそうね。ただ、仕事をさせて、その結果で1年づつ減るとは思うけど」
「という事は、10年で出る事もあるって事ですか?」
「ははは、それはさすがに無理だよ。寝ずに死ぬほど働いても200年くらいになるだけかな?」
うわ~、厳しいな。
まぁ、それくらいの事をしたんだけど。
集団誘拐・監禁・不法占領・モンスターを使った暴力、等々だもん。
指折り数えなきゃいけないくらいの犯罪数だ。死刑でも不思議じゃないな。
あっ、そうだ! 丁度良いから、こないだ思った事を聞いてみよう。
「質問しても良いですか?」
「いいよー」
「日本で言う、疫病神って居るんですか?」
「いないねー」
「居ないんですか」
「疫病神や貧乏神ってのは、想像の神様だね。
福田君なら簡単に理解出来るから言うけど、ただの運の悪い人の事だよ」
「……あぁ。理解出来ました」
つまりは、俺の逆の人が居るって事か。
俺は運が120あるけど、運の上限が80の人とかが居るって事か。
その人が貧乏になったりするのは当然って事だ。
「その定義で言えば、前世の福田君もなかなかの貧乏神だったね」
「……そうでしょうね。死んだ時に幸運ポイントが60もあったくらいですから」
「なかなかいないよ~。運の上限が40だった人って。レアキャラだね!」
「嬉しくないです……」
「あっ、落ち込ませちゃった? ゴメンゴメン。
お詫びに、今君が悩んでる事を解決してあげよう!」
「はぁ? 別に悩んでないですよ?」
「カジノの町の冒険者の事で悩んでるでしょ?」
「なんで知ってるんですか?!」
「神に隠し事は出来ないのだよ! ってまぁぶっちゃけ、閻魔様から聞いたんだけどね」
「閻魔様から? ……加護か! 加護で盗み見してたのか!」
「そういう事かな? 詳しくは知らないけどさ~」
そういえば加護を渡した相手の事は筒抜けだったはず。
じゃあ今の俺の行動は、アサイ・イイクラさん・閻魔様・シヴァ神・カーリー神にはバレるって事じゃないか!
良かった、ルシファーさんの加護を断っておいて。
「で、どうやって解決してくれるんですか?」
「ダンジョンさ」
ダンジョン?




