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遊びに来ました

何故かジローに引き止められ、その間にトムさんがやってきた。

この2人も付いてくるようだ。


「色々言いますけど、行くのは止めないんですね?」

「いや、それは無理だろう。いざとなれば、地上を進めば着くのだからな」


そりゃそうだ。

止められるなら、コルラド国を進めば良いだけだ。

行きたくない国だけどな!


通路を通ると、石造りの宮殿の中のような所に到着した。

なかなか趣のある造りだ。


今思ったが、やはり男女で死者の管理施設の作りが違う。

女性の方が、ちゃんとした造りになっている。

ここもそうだが、トムさんの所も草原の一軒家みたいでオシャレだし。

それに比べて、タロージローの所は広い洞窟って感じ。

まぁ、トムさんは男だけどね。


建物を眺めていると、遠くから蹄の音が聞こえてくる。

どうやらユニコーン登場のようだな。


「あれー、皆でどうしたの? あっ、タローだけ居ないや。ん? そっちは誰?」

「サキ! あんた何したの?!」

「愚かな事よ……」

「何何? なんでいきなり怒られるの?」


トムさん、そしてジローよ、そんなに問い詰めなくても良いじゃないか。

ちょっと遊びに来ただけだよ?

別に悪い事した訳じゃないんだからさ、ハハハハ。


「こっちに居るのは、福田哲司君よ。知ってるでしょ?」

「あっ、知ってる。何か天界に目を付けられてる人だ」

「悪い人みたいに言わないの! いや、合ってるか?」

「トムさん?」

「何でもないわよ?!」


俺は普通に生きているだけですよ?

目を付けられるような事は何も、ええ、何もしてませんよ。

大事な事なのでもう一度言います。何もしてませんよ?


「で、何の用なの?」

「遊びに来ました」

「遊び?」

「ええ。物理的に」

「ストーップ!!」

「何ですかトムさん?」

「穏便に行きましょうね。穏便に。ね?」

「……まあ、トムさんの顔に免じてそうしましょうか」

「え? え? 何? 何なの?」

「じゃあちょっと待っててください」


ここまで来たのだが、俺は一旦引き返して王都の家に行く。

ヒタキさんに頼んである物を10個づつ3種類作ってもらい、ソレを持って戻る。


「ただいまー」

「もう、何なの?! 遊びに来たって言いながら、主役が帰っちゃうし!」

「遊びですよ。さあ、遊びましょう」

「福田君?」

「大丈夫ですよ。物理的な事はしませんって。ほら何も持ってないでしょ?」

「いや、マジックボックスの中に入れてるだけでしょ?」

「そうですけど、今回は出しませんよ。代わりに違う物を用意しました」


そう言って取り出したのは、さっき作ってもらったもの。

そう、直径2cmくらいの饅頭だ。


「この饅頭の中に、1つだけ激辛の物が混じってます。

 順番に食べて行って、食べた人が負けのゲームです」

「それって福田君が……」

「トムさん?」

「はい! 何も言いません! だから怖い顔しないで!」

「……じゃあ誰が参加します? あっ、サキさんでしたっけ? 初めまして。

 初めてなんだから、最初は見ていてください。次から参加をお願いします」

「え? え? う、あ、はい」


こうしてゲームをする事になった。

参加メンバーは、俺、カンダさん、ナグラさん、トムさん、ジローの5人だ。

10個あるので、丁度2周する。

サキが参加してないので、今回使うのは辛味を抑えた物だ。


俺は運も使わずに、トライ。

使わないと当たるのか。人よりも運が高いけど、どうなんだろ?


結局、2周目にジローが引き当てた。

吐き出すほどではなく、辛い辛いと言うくらい。

さすがヒタキさん。判ってるね。


さぁ、本番だよ?

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