ルシファーさんの加護
「何でルシファーさんが残ってるんですか?」
「オレと福田君さ、付き合いが長いじゃない?」
「長いって言われても、勇者事件からですけど。まぁ、他の神様と比べたら長いかも知れないですね」
「そうだろ? なのにさぁ、皆が福田君に加護加護ってさぁ」
あ、イヤな予感がする。
これ、加護を押し付けられる流れじゃね?
「いやいや、ルシファーさんからは色々貰ってますからね。島とか船の改造とか」
「そうだけどさ、やっぱり加護ってさ、絆!って感じがしない?」
「それはあるかもしれないですね。あっ、先に言っておきますけど、加護は要りませんよ?」
「!! な、何で?!」
「さすがに俺の頭が限界です。パンクします」
「大丈夫だよ、ほらちょこっとだけだけよ?」
「また後日って事でお願いします。今はもうお腹一杯です」
「え~~~~?」
「どうしてもって言うなら、俺の従魔にでも付けておいてください。……従魔にも付けられますよね?」
「可能だけどさぁ……」
よ~し、可能ならシロとヒヨに付けてもらおう。
あの2匹は弱いからな。
ルシファーさんの加護だから、凶悪な物に違いないだろうから。
「シロってのと、ヒヨって従魔にお願いします」
「ぶ~。判ったよ。そうするよ。でも絶対後日加護を与えるからね!」
「その時は連絡します」
それで何とか諦めて帰ってもらった。
いやぁ、危なかったね。
これで従魔を見ればどんな加護なのかすぐに判る。
便利な物なら後で貰えば良いし、危険な物なら連絡しないようにしよう。
「福田殿、これで終わりか?」
「殿?! どうしたんですか、急に」
「ルシファー様との気軽な感じ、多数の神様からの加護。敬わなくてどうする」
ミノタウロスから殿付けで呼ばれるとは。
何か気持ち悪いな。
「帰られるのか?」
「ええ。一度帰って、仲間を連れてきます」
「ん? どういう事かな?」
「ちょっとする事があるので」
そう言って、一度家に戻る。
で、仲間を連れて再度ミノタウロスの所へ。
「何の用事があるのだ?」
「ここって、死者の管理施設に行けるんですよね?」
「正確にはそこの守護者の所に、だがな。それが?」
「ユニコーンの所はどれですか?」
「サキの所か? それなら右の通路だが。サキに用事か?」
「ええ。ちょっと因縁を思い出したので。ボコろう、ゲフンゲフン、いえ、お話をしに行こうと思いまして」
「……すっごく不穏な言葉が聞こえたのだが」
「気のせいです」
ユニコーンのサキ、お前の事は忘れてないよ。
名前は忘れてたけどさ。
お前はやってはいけない事をしたのだ。
そう! 試練のダンジョンだ!
皆が挑戦する中、俺だけがラスボスとして参加させられた!
あの屈辱! あの時に絶対に復讐すると誓ったのだ!!
許さないからな、サキ!!
「福田殿、凄く怖い顔をしているが……」
「おっと、そうですか?」
「あ~、ワタシも付いて行こう」
「えっ? ジローさんが?」
「ああ。止める役が必要だろうからな」
「はっはっは、何を言ってるのか」
「何があったかは知らないが、殺されては困るからな」
「はっはっは、何を言ってるのか」
「……トムも呼んだ方がよさそうだな」
はっはっは、何を言ってるのか。
大げさだなぁ。OHANASHIするだけですよ?




