勇者帰還する
今日の夜は勇者君達と島でパーティーをした。
凱旋って事で。
翌日。
勇者君達をミノタウロスのダンジョンへ連れて行く。
良かったよ、『門のシール』を設置してて。
そうじゃなきゃ、ウエダさんの家から馬車移動になる所だった。
早速ジローに会わせる。
勇者君達は、いきなり目の前にミノタウロスが出たから驚いてるようだ。
害は無いですよ~。
「おおっ! 福田君、成功したのか!」
「ええ。魔王(?)はこの腕輪の中です。勇者一行もこの通り、怪我も無く連れてきましたよ」
「ここでなくても、1階で良かったのだが」
「いや、普通に道を歩いてきたら、あの国の人に見つかる可能性もありますし」
「ふむ。それもそうか。では、閻魔様に報告しよう。少し待っていてくれ」
やはり責任者は閻魔様なんだね。
現場で動いていたのは、ルシファーさんやイイクラさんだけど。
「ふふふふふ、福田さん!」
「何が可笑しいの?」
「違います! 閻魔様ってどういう事ですか?!」
「今回の事を仕切ってるのが閻魔様なんだよ。あっ、ムチャクチャ権力者だから、粗相のない様にね」
「しませんよ! 舌を抜かれるでしょ!」
そういえば、閻魔様ってそんなキャラだったな。
後は、ウソが見破れるとかだったっけ。
っていうかさ、あっちの世界の人達からすれば、俺達のウソなんかすぐに判るだろうな。
だって、一人づつに履歴とかあって、それを見れば良いんだから。
俺が死んだ時も、タブレットで確認してたし。
少し待つと、閻魔様がルシファーさんを連れてやってきた。
まさかの閻魔様登場ですよ。
「福田君、ご苦労だった」
「いえいえ」
「さて、吉田君、小嶋さん、渡辺さん、藤崎さん。
こちらのバカが迷惑をかけてすまなかった。許して欲しい」
「はっ、はい!」
「これから君達を元の世界に帰そうと思う。
攫われた時から1時間しか経っていない時間に戻すので、安心して欲しい」
「そんな事が出来るんですか?!」
「それくらいは何とかなる。それとこの世界で手に入れた能力も、そのまま持って帰れる」
あっ、それは良いな。
鑑定や転移は、日本でも凄く便利だ。
強運もだね。回復だけが少しだけ不便かな?
いや、医者になれば良いのか? 医者じゃなくても鍼灸の方が良いか。
医者だと何で回復したか疑われそうだもん。鍼灸なら東洋医学の力とか言って誤魔化せそう。
後は、全員が持ってるマジックボックス。
何処へ行くにも手ぶら!
逆に覚えた武技は不要だろう。
自衛隊にでも入れば役に立つかもしれないが。
「では細かい打ち合わせをする為に、一旦神の世界に来てもらおう。良いかな?」
「あっ、その前に! 福田さん、本当にお世話になりました」
「「「「ありがとうございました!!」」」」
やべぇ、ここまで感謝されると……涙腺が……なんて事はなく、罪悪感が!
三種の神器とか言ってからかってたし。
魔王攻略も丸投げしたし。
俺が居た堪れない雰囲気の中、勇者達は神の世界(?)に転移していった。
で、何故か残っているルシファーさん。
帰らないの?




