魔王退治
翌日。
こっそりとお玉の娘と打ち合わせした方法で勇者一行を連れてくる。
小嶋だったっけ?
その方法とは、、、
まず、フライパンの娘に来てもらい、『転移板』を持ったガーと共に帰ってもらう。
そのままガーは森の中で見つからないように待機。
次の日にガーが登場。「神の使いが来た。帰る事になった」と言って『コネクト』で転移。
勿論時間は打ち合わせ済み。
最後に、こっそりとガーが『転移板』を取り、俺が召還する。
ま、いつものパターンですよ!
こうして、勇者一行を確保。
とりあえず誰の邪魔も入らないように、島へ皆で移動する。
さて、ジローの所に行くまでに、話でも聞くかな。
「どうだった、魔王は?」
「あの神器って本当に効果があるんだね! ビックリしたよ! 何か光ったし! 超~簡単だった!」
うんうん、そうだね。
判ったからフライパンの娘は少し黙ってようか。
それが聞きたいんじゃないんだし。
えっと、渡辺だったっけ?
「何とか兵士の皆さんの力も借りつつ、魔王が居る玉座の間まで進んだんです」
「そこまでが辛かったよね」
え~い、菜箸の娘。そこまでの話は良いんだよ!
お前は料理でもしてなさい。ここなら食材も調味料も沢山あるから。
どうせ碌な物食べてないんだろ?
えっと、藤崎?
「玉座の間に入ると、そこには魔王が一人で待っていました」
「あぁ、よくある展開だな」
「そうなんです。普通は沢山のモンスターを連れてそうなんですが、こんな所まで真似してました」
「バカだね……。で?」
「魔王が『よく来たな、勇者達よ』と話しだしたので、福田さんに言われた通りに行動しました」
「それも想定通りだな。魔王は何故か勇者と語りたいらしいからね」
「ええ。長いセリフを言おうとしてたみたいです。途中で『世界が~』とか聞こえましたから」
「さすが! で?」
「すぐに練習した通りに神器を掲げると、凄い光が発生しました。
そしてその力を結集し『課長○N!』と叫ぶと、光の塊が魔王に向かって飛んで行きました」
「ほう! その時魔王は?」
「『私の仲間にならな……えっ、ちょ、おい、話の最中でしょうが! えっ? 何コレ?!』って言ってましたね。
最後まで言う前に、その光がネットのようになり魔王に取り付いたんです。
それをそのままズルズルと引きずり、腕輪の中に収納されました」
投網かよっ!
それで捕まる魔王……うん、是非そのマヌケ面を見たい!
確か録画されてるハズだから、後で頼んで見せてもらおう。
真面目にやってる分、芸人のドッキリよりも面白いに違いない!!
それにしても、まさか口上の途中で攻撃されるとは思ってなかっただろ。
どんなゲームでもそうだし、魔王が出るラノベでもそうだが、会話したがるからな。
魔王と勇者が会話したって、良い事なんか一つも無いのに。
世界の真実を聞かされたりとか、どうしようもないので魔王をしてるとか、そんなの言われるだけ。
それで倒しにくくなったり、2段階変身をさせたりと、不利になるばかり。
どうせ倒すんだから、相手の話なんか聞かないのが心理的にも最上の手なんだよ。
「福田さんの作戦と神器のお陰で凄く楽勝でした。ありがとうございます。
それで、これが、預かってた腕輪です」
「うん、確かに」
「後、三種の神器もお返しします」
「あ~、それは良いよ。記念品として3人に差し上げるわ」
「「「えっ?!」」」
「神様補正が付いてるから、地球でも使えるし。多分絶対に壊れないから、便利だと思うよ?」
「ちょっと待って下さい!
フライパンは便利だと思うんですけど、私のお玉って意味無いじゃないですか!」
「鍋に便利じゃない?」
「そんなにお玉は壊れませんよ!」
「じゃあ、武器として」
「地球で武器なんか必要無いですよ! それにお玉が武器ってなんですか!」
「え~、ヨーヨーが武器の人も居たくらいだし。もっと言えば折鶴が武器の子も居たよ?」
「訳が判りません!!」
鉄仮面を知らないか。
俺も過去のドラマの総集編みたいな番組で見ただけだからなぁ。
「光る機能は残ってるからライトとして使えば良いさ」
「光るお玉持って夜に歩いてたら、間違いなく職務質問されます!」
ダメかなぁ?




