七福神
世界は広い。
地球だけでもムチャクチャ広い。
異世界まで含めれば、神様なんて山のように居るんだろう。
アサイさんを神の使いとは思いたく無いが。
そこで思い出した。地球で一番有名な神様は?
「閻魔様、一つ質問して良いですか?」
「うむ」
「キリストってどうしてます?」
「キリスト? 誰かね? 君の友人かな?」
「えっ? 地球の神様ですよ? 一番有名な」
「そんなもん居ないぞ? 多分、人間が都合良く作ったんだろうな」
「マジですか……」
そうだったのか。なかなか衝撃的な話だね。
まぁ、日本人としては、クリスマスくらいしか関係無いけど。
「じゃあ、今現在、地球を担当している神様って誰なんですか?」
「今更聞いても意味無い事だと思うが。まぁ良いだろう。
仏と日本で言う七福神だな」
七福神?
弁天様・布袋様・大黒様・恵比寿様、後は誰だっけ?
帝釈天もか? やべぇ、思い出せないわ。
「すみません、全員が出てきません」
「元日本人なら知ってると思ったのだがな。
恵比寿・大黒天・毘沙門天・弁財天・福禄寿・寿老人・布袋、以上の7人だ」
「弁財天はサラスヴァティーで、私のママ友よ。パパ同士は仲が悪いけどね」
おっとカーリー神のママ友ですか。
って事はインド方面なんですね?
シヴァ神はサラスヴァティー神の旦那と仲が悪いのか。
まぁ、どうせシヴァ神が何かしたんだろうけどさ。
「そんな感じで、本当の名前は別にある。
ま、会う事も無いから知らなくても良いだろう」
「……そうですね」
いや、シヴァ神も会うはずじゃ無かったと思うんですけど。
何かフラグが立った感じがするんだよなぁ。
会わないように気をつけよう。
「さて、これで話は終わりだ。
シヴァは3ヶ月は仏の手伝いをする事。カーリーは加護を変更して回る事。
福田君は引き続きダヒュテム捕縛をよろしく頼む」
「はい。閻魔様」
こうして、俺はまたトムさんの案内で元の世界に戻った。
家に帰ると、キジマさんが慌ててやってきた。
「福田さん!」
「どうしたの?」
「勇者から連絡がありましたよ! 捕獲に成功したそうです!」
「マジで?!」
「福田さんに連絡したのに繋がらないって言って、私に電話してきました」
「あ~」
さすがに神様から貰った携帯電話でも、神様の世界にまでは電波(?)が届かないようだ。
そういえば2日も経ってるもんな。
城に突入してれば、魔王に到達してても不思議じゃないわ。
「じゃあ、連絡してみるよ」
「そうしてください。待っているはずですから」
携帯電話を取り出して、勇者君に電話をする。
呼び出し音が1回だけ鳴っただけで、すぐに繋がった。
「福田さん! 何してたんですか?!」
「ゴメンゴメン。ちょっと神様の用事でさ」
「電話くらい出てくださいよ!」
「あっちは世界が違うから繋がらないんだ」
「そ、そうなんですか……。あっ! 聞いてくださいよ! 成功しましたよ!!」
「うん、聞いてるよ。やったな。すぐにこっちに来れるかい?」
「いえ、多分凱旋とかしなきゃいけないんで、すぐは無理です」
「あ~、また政治利用しようとしてるのか。無視して来れば良いよ」
「一緒に戦った兵士とは喜びを分かち合いたいんです……」
「あっ、なるほど。じゃあ、今晩はそうすると良い。
で、明日召還した神様が帰れって言ってるから帰るって事で」
「えっ? わ、判りました」
アホ達の政治利用は許せないけど、一般兵には関係無いからね。
共に戦った仲間だろうし、一緒に最後の夜を過ごすと良いよ。




