広がる加護
皆からの苦情を聞きながら頂上を目指す。
だからさ、俺に言われてもさぁ。
「だって、福田さんに言わないと神様に伝わらないでしょ!」
「むむっ! 確かに!」
「それと、今思ったんスけど、私達に間違えて加護を与えられたんですよね?」
「うん。多分そうだと思う」
「それってどういう括りでなんスか?」
「括り?」
「普通に考えたら冒険者のパーティーじゃないっスか。でも神様ってパーティーとか判ってるんスか?」
「んん? 嫌な予感がしてきたぞ? それで?」
「福田さん+福田さんの関係者って括りの可能性がありそうなんスけど……」
「え~と、それだと、まぁ皆は貰うよね。でもその場合の関係者って?」
「よく会う人や親しい人は関係者扱いにならないっスか?」
「た、例えば?」
「タルーンさんとか、ヒタキさんとか……」
可能性がありそうだ……。
だって適当そうなんだもん。
その括りで行くと、ウエダさんなんかモロじゃない?!
こりゃ調べた方が良さそうだな。
「と、とにかくまずは大木に行こう。
で、その後に関係者の所を回ろう! 雷に打たれた人が居るかも!」
慌てて階段を登って大木の元に行く。
凄い大きい木なんだが、今はそれ所では無い!
木に触れながら『センス』を使う。
すると手から魔力が吸い取られたような感覚がした。
これで終わりかな?
急いでジローの所に戻ると、トムさんは既に居なかった。
どうやら先に帰ったようだ。
ジローに聞くと、トムさんは神様達の居る所に向かったらしい。
確認を取りに行ってくれてるそうだ。ありがたい。
ジローの了解を取って、さっきの4方向に通路のある所に『門のシール』を貼らせて貰った。
トムさんが不在なのに、家を使うのは悪いかなって配慮して。
まずはウエダさんの所だ!
家に行くと奥さんだけが居た。
「こんにちは! ウエダさんは?!」
「主人なら今病院に行ってます」
「病院?! どうしたんですか?!」
「昨日突然雷に打たれたと言いまして。異常が無いか調べてもらいに行ったのです」
あああああ~~~、ビンゴ!
一人目発見ですよ!
「それ、異常は無いです。いや、ある意味異常か?」
「えっ? えっ?」
「福田さん、落ち着いてください。奥さんが困っていますよ」
「ああ、すみません。とにかく事情を説明するので、呼んできてもらえますか?」
「はい……判りました」
奥さんが呼びに行っている間に、ナミちゃんが帰ってきた。
「あ~お兄ちゃん! 久しぶり!」
「お~ナミちゃん、久しぶりだね」
「そうそう、聞いて! ナミね、昨日パッって明るくなったんだよ!」
「ん? どういう事?」
「だからね、こう、ビカッって感じで明るくなったの! ちょっとの間だけだけどね!」
「……ちょっとナミちゃん、じっとしてて」
鑑定の魔法でナミちゃんを見る。
はい、ありました~。ここにもシヴァの加護が付いていま~す。
二人目発見ですよ!
なんでナミちゃんまで? そういえば奥さんは無かったっぽいのに。
あっ! 判った!
最初の頃、ダンジョンに連れて行ってもらったわ。
それで一緒に狩りをしたね。それで同じパーティーだと思われたんじゃないか?!
節操無さ過ぎ!!




