表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
623/949

仏再臨

次のモンスターを探してる内に1時間が経過して、魔王城の前に到着してしまった。

魔王城は森の中にポツンと建っている。

周囲200mには木々が無く、森から出ると丸見えになる。

突入する前に休憩するらしく、森の中で食事の準備が進んでる。


「ヨシヒ……、いや違う、テツジー、テツジー!」


こ、この声は……仏様?!

このタイミングで何故?!

周りが人だらけなのに!


だがこの声は俺にしか聞こえてないようで、誰も空を見ようとしていなかった。

少し安心したが、一応トイレと言って皆から離れる。

だって「誰にも聞こえない見えない」なら俺は一人で空に向かって喋ってる変な人になるからね!


「ヨシヒ……、いや違う、テツジー、テツジー!」

「はいはい、何ですか仏様。わざと間違えなくて良いですよ」

「いやぁ、様式美だよ」

「どんな様式美ですか……。あぁ、コスプレまで完璧にしちゃって! どこを目指しているんですか?!」


周囲にはダンボールで作ったのか、お手製の雲がヒモで吊るされている。本物が出せるでしょうに!

後ろからはライトが照らしている。後光のつもりなのか? 本物を出せば……いや、もうツッコまないぞ。


「で、何ですか?」

「いやね、突然魔王の所に福田君が現れたからさ。どうしたのかなと思って」

「そういう事ですか。たまたまですよ。勇者の慰問に来ただけです」

「その割には率先してモンスターを倒していたようだけど?」

「新しく魔法を覚えたので、練習してただけですよ」

「ふ~ん。で、どんな魔法を覚えたの?」


俺は覚えた魔法を仏様に説明した。

その最中、何か聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「あれっ? 仏なにしてんの? あっ、福田君じゃん! おーい、見える~?」

「おい、今は私が話してるんだよ。邪魔するなよ!」


ルシファーさん登場だ。


「んんっ、さて福田君よ。君の覚えた『センス』だが……」

「ルシファーさん、何してるんですか? あっ、仏様、こんにちは~。あっ福田君だ!」

「こらっ! アサイ! 映るな! 邪魔!」

「元気~? 私は元気だよ~。皆も元気にしてる~?」


何だこれ?

何か重要な事を話してくれそうだったのに。


「引っ込めっての! 今は私が話してるの!」

「仏様、何でそんな格好してるんですか?」

「いいから! 後で説明するから! 引っ込め!」

「え~、私も話したいですよ~」

「後にしろ、後に! ゴホン、さて福田君よ。君の……」

「何の騒ぎですか?」

「イイクラ~。このタイミングで出てくるなよ。今、良い所なんだよ」

「すみません。おや、福田さんではないですか。お久しぶりです」


混沌としてきたな。

俺に出来る事は何も無い。ただ、ぼ~っと空を見るのみだ。


「イイクラ、丁度良い。アサイを連れて帰ってくれ!」

「最初からそのつもりで来たんですよ。お前、この間の出張の時の領収書、アレは何だ?」

「えっ? ちゃんと全部出しましたよ?」

「みやげ物の領収書なんか却下に決まってるだろ!」

「そんな! 皆受け取ったじゃないですか!」

「受け取った受け取ってないは関係無い! 大体、そういう領収書の合計額が多すぎる。説明してもらうぞ」

「えっ? えっ? ちょっと待って? じゃあ使ったお金が返って来ないの?!」

「当たり前だ! 何で日帰りの出張で10万の領収書が出るんだ?! おかしいだろ!

 さあ、経理に行って説明してもらうぞ!」

「えーーーーー!! た、助けて、福田君!!」


さようなら、アサイさん。

相変わらず、バカなんだね。


「ふ~~。静かになった。あっ、ルシファーもおとなしくしておいてよ?」

「了~解。俺は福田君に用事があるなら電話するから」

「助かる。さて福田君よ。君の覚えた『センス』だが……」

「お~い、仏~。昨日の飲み会は楽しかったな。あっ、これ立て替えてもらったお金」

「シヴァ! 今じゃなくても良いだろ!」

「えっ? 要らないの?」

「いや、要るけど! 返してもらうけど! 今大事な話してるの!」

「ん? 何だよコレ。何を吊るしてんの?」

「雲だよ! 作ったんだよ! あーー、引っ張るな!」


あっ、千切れた。

乱暴な人だな。ん? シヴァ?

シヴァって、あのシヴァ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ