魔法の練習
翌日。
アイテムボックスを覚えた女性陣は、それは嬉しそうにしている。
それもあってか、今日は買い物に行くそうな。
当然、俺はそれに付き合いたくない。
って事で、俺は勇者君の慰問に行くつもりだ。
カンダさん? 嫁に付き合うのは当然でしょ?
勇者君に電話をすると、迎えに来てくれるらしい。
確かに慰問に行くと考えたが、行く方法が無かった……。
少し待っていると、渡辺さんが転移してきた。
え~と、そうそう、フライパンの娘だね。
そのまま一緒に勇者君の所に行く。
到着した場所は森の中だった。
ここがラース森林か~。
さすがにRPGのように勇者だけが魔王討伐に来てる訳じゃないので、兵士の人が枝打ちとかをしながら進んでいる。
あれってヒドいよな。世界を守れって言いながら、国は動かないんだもん。
ならその分優遇してくれれば良いのに、良い武具もくれないし城下町に泊まるのにも金を取る。
何度魔王に協力したいと思った事か。
「福田さん、お久しぶりです」
「お~、勇者君。元気にやってる?」
「はい。ところで勇者君ってのは止めてくださいって言いましたよね?!」
「そうだったね、ゴメンゴメン」
「この間の助言もありがとうございました」
「あれから良くなったかい?」
「ええ。どの神官も新たにまたエリクサーが貰いたいのか、こちらの要望が簡単に通るようになりました」
「欲塗れの人ほど扱いやすいからね。で、今はどの辺りなの?」
「後1時間で魔王城に到着する予定です」
マジか!
変な時に来てしまったなぁ。
このままじゃ巻き込まれてしまう!
だが、帰る手段が無い。『門のシール』をその辺の木にでも貼れば帰れるが、1枚を無駄にしてしまうし。
参観日のようなつもりで来ただけだったのに……。
夕方には進軍が終わるらしいので、それまでは付き合わなければならなくなった。
まぁ、別に戦わなくても良いみたいなのだが。
どうやら森もダンジョンの一部にしたのか、普通にモンスターが出る。
倒すとドロップ品が出ているので、それに気づいた。
ハーピーみたいな従魔かと思ってたよ。
いや、待てよ? 従魔を倒してもドロップ品は出るのかもしれない。
今まで戦った事が無かったので知らないだけかも?
どっちなのか気になったので、タブレットでマップを出してみた。
現在位置が黄緑色になっている。白じゃ無いからダンジョンのようだ。
って事は、やっぱりあれは従魔じゃないんだね。
戦闘は兵士が担当している。
勇者君一行は本番用みたいだね。
勇者君は自分も戦いたいようだけど、女性陣に止められている。
まぁ、こんな所で疲弊されても困るし、それが正しい。
折角モンスターが居るので、覚えたばかりの魔法を練習していこうと思う。
という事で、勇者君に話をしてもらい、前線に行かせてもらった。
現れたのはゴブリン。早速『オピニオン』を使う。鑑定の魔法だ。
『ゴブリンメイジ:レベル35』とモンスターの頭の上に表示された。
へ~、こういう風に表示されるのね。
ゴブリンメイジって事は魔法を使うだろう。
なので『オブテイン』を使ってみる。MPを吸い取る魔法だ。
すると淡い光がゴブリンから俺に向かって飛んできた。
ゴブリンの魔法かと思ったが、これが吸い取ったMPらしく、俺のMPが40ほど回復した。
オブテインでMPを20消費するので、20だけ得をした感じ。
これ、40ってのが絶対値なのかな? それとも敵のMPの何%か取るのかな?
仲間で実験する必要があるね。
ゴブリンメイジは魔法を使わなくなった。
さっきまではファイヤーアローを撃って来てたのだが。
もしかしたら吸い取ったせいでMP不足になったのかもしれない。
こうなったらただのゴブリンなので、兵士が袋叩きにして倒した。
うん、この調子で実践で試していこう。




