王様と釣り
王様を乗せたまま、そこら辺を船で周遊する。
「いやぁ、なかなか船にも乗れない日々でな! 楽しいな!」
「なら釣りでもしますか?」
「おっ、良いな! 釣りをするのは初めてだ。教えてくれ!」
竿を渡して、エサをつけてあげる。
最初は投げる事さえ出来なかったが、3~4回もすれば出来るようになった。
さて、釣れてくれよ~。
初めてで釣れないと全然面白くないからなぁ。
そういえば船にレーダーみたいなのが付いていたな。
あれは魚群探知機にはならないのだろうか?
確認してみると、スイッチで切りかえれるようになっていた。
これで表示できるのは、海の上のレーダー・魚群探知機・空のレーダー、の3種類。
陸海空をちゃんと押さえているね。まぁ、陸と言っても海上だけど。
魚群探知機で調べた所、近い場所に魚が集まってる場所がある。
そこに移動して釣りを再開すると、サバみたいなのが爆釣した!
そこでさっきカンダさんがやってたみたいに、1匹をエサにしてみる。
その竿を王様に渡し、俺は運を使う。
『さっきのようにツナザメが釣れますように!』
これで、王様も大物が釣れるだろ。
期待通り、王様の竿に大きな当たりが来る。
2~3分ほど格闘してもらい、その後に船搭載のビームを使って捕獲。
見事王様は大物のツナザメを釣り上げた。
「いやぁ! 釣りは面白いな!」
「いやいや、こんな大物は早々釣れないですからね?」
「判っておるよ。だが、楽しい。こんな楽しいのは何時ぶりだろうか」
「まぁ、楽しんでもらえたなら良かったですよ」
港に戻り、王様を船から降ろす。
宰相がまだ居たので、王様が釣ったツナザメを渡してあげた。
「これを王様が?!」
「ええ。釣ったのは王様なので、王様の物です」
「では、これは今晩、城の者と一緒に頂く事にしましょう」
「あ、それじゃあ足りないかもしれませんね。カンダさんが釣った物もあげますよ」
「え?! いや、それを貰う訳には……」
「漁業権を貰いましたからね。何時でも釣れますから大丈夫です」
「そうですか? では遠慮なく。
そうそう、あそこに灯台が見えるでしょう? あの元になら船を止めても良いと許可を取りましたので」
「忘れてました! ありがとうございます!」
漁業権を貰っただけじゃダメなんだよな。
停泊させる所も必要じゃないか。
さすが宰相、気が利くよね。
あっ! これで高級宿に泊まらなくても済むじゃないか!
船に泊まるって事にすれば良いんだ。
で、実際は家に帰れば良い。
これで宿の問題も解決だし、ヒマも潰せる。
宰相に、今日からは船に泊まりますので、宿は引き払いますと話した。
お客様なのでそういう訳にはと言ってたが、なんとか折れてくれた。
王様には宰相から話をしてくれるらしい。
苦労をかけます。
船の問題も解決し、宿問題も解決。
良い事ばかりだね。
後は家が完成すれば、この国ともおさらばできる。
よし、このヒマな時間を利用して、魔法を覚えに行くか!
上級魔法は人数が限られてるけど、島に行く権利を復活させると言えば全員可能かもね。
あぁ、タルーンさんにお土産を持っていくってのもあったな。
ま、5日もあるんだ。ゆっくりやってない事を終わらせて行こう。




