表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
618/949

密漁騒ぎ

俺達は囲まれたまま、帝都に戻り漁業ギルドに連れて行かれた。

下船した時に、くれぐれも船には触れるなと通達しておいた。

現在密漁扱いなので、船も差し押さえられてるんだが、出来れば触れないで欲しい。危険だから。

そして、全員で取り調べの最中です。


「どこの国の人間だ?」

「え~、一応ニーベル国になると思います」

「曖昧だな。ふん、どうせウソなんだろうが」

「なんでウソなんですか?!」

「あの国には海が無いではないか! しかもここから遠い!」

「そりゃ確かにそうですけど。ウソじゃないですよ」

「密漁するやつは大概ウソをつくもんだ」

「だから密漁になるって知らなかったんですって!」

「はいはい。で、目的は?」

「だから、釣りですよ」

「釣りでツナザメが釣れるなら誰も漁業なんかやらんわ!」


あれ、ツナザメって言うのか。

日本語なのか英語なのかはっきりして欲しいな。

混在してると、何か気持ち悪い。


しかし、どうやったら疑いが晴れるだろうか?

言ってる事は全部本当なのだが、どれも信じてもらえない。

まぁ、俺が反対の立場だったら信じないだろうけど。


「この国に来たばかりだから、漁業権の事を知らなかったんですよ!

 それに貴方の言葉を使うなら、海の無い国出身なら漁業権なんて知る訳無いですよね?!」

「来たばかりねぇ。その割には船まで用意して準備周到だがな。

 何しに来たんだ? 密漁だろ?」

「違います! 王様に呼ばれて来たんです!」

「……お前、ウソつくならもっと信憑性のある事を言えよ。

 誰が信じるんだ、そんな話。バカにするのもいい加減にしろ!!」


どこまでも平行線だ。

こっちは真実を話してるが、あっちは全てウソだと思っている。

何か証明する物を出すしかないんだろうけど。


3カ国から貰った、外交官の書状を出すか?

でもあれは外交官だという事を証明するだけで、身分は判明するがそれだけだ。


ここで思い出したのが、王様から貰った目録。王様の印もある。

王族との繋がりを示すのには完璧な物じゃないだろうか。

問題は、内容に漁業を認める事が書いてない事だが。

でも、この国ではこれしか手が無いな。


「ちょっと、これを見てください。

 王様から直々に渡された物です。ほら、ここに王様の印もあるでしょ?」

「む、た、確かに。……だが、これも捏造の可能性がある。

 それに本物だとしても、ダンジョンの事は書いてあるが、漁業の事は書いてない」

「事実です! 城に確認を取ってもらえれば判ります!」

「お前、書類を捏造してるのに城に確認取って良いのか?

 間違い無く死罪だぞ?」

「事実だから大丈夫です!」

「アホか。そんな事したら、俺まで罰せられるわ」


ぐぬぬ、この石頭め!

言い合いをしていると、キジマさんから援護射撃が。


「ちょっとお待ちください。

 もし、この書類が事実だとしたらどうします?

 この国の事をよく知らない他国の人間を王様が呼び、褒美の目録を渡される人物ですよ?

 その人を勝手に罰したと後で王様が知ったら、貴方はどうなるんでしょうね?

 怒られる程度で済みますか? 解雇、下手すれば投獄もありえますよ?

 そこまでの責任が取れますか?」

「むむむ……だが、ウソに翻弄されて報告しても怒られる。

 そうだ! こうしようじゃないか!

 お前達の一人が城へ行け。そこで話をして来い。

 事実なら城から誰か派遣されてくるだろ。ウソならそのまま逮捕されるだろうがな。

 なので、期限は2時間だ。2時間で帰らないならお前達は密漁の罪で牢屋行き。

 仲間が大事なら逃げたりしないだろ? どうだ」


おっと、まさかここで『走れメロス』的な話が出るとは!

しょうがない、俺が行くか。

俺なら飛翔の靴で空を歩いて行ける。

障害物が無いので、早いはずだ。


名乗ろうとしたが、拒否された。

責任者扱いされてるので、お前は逃がさないって事らしい。


結果、一番若いナグラさんが指名された。

大丈夫かな、心配だ。主に無礼を働かないかという点で。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ