グランザムで釣り
宿で褒美に貰ったダンジョンの地図を見る。
数えてみたが、この国には17のダンジョンがあるようだ。
いや、1つ潰したから16か。
知っているダンジョンには名前を書いておく。
名前といっても正式名称は知らない。
俺が勝手に呼んでいる名前だ。
『素材』『出汁』とかそんな感じ。
料理するみたいに見えるが、気のせいだ。
家は1週間で完成するらしいから、片道2日くらいのダンジョンが望ましい。
そう思いながら探したが、全然無い!
ダンジョン探索は、家が出来て『門のシール』を設置してからにしよう……。
そうなると、どうやってヒマを潰すかだが。
何も良い方法が思いつかないので、皆に聞いてみた。
「冒険者ギルドで依頼を受けるのはどうでしょうか?」
「それが良いかもしれません」
「海に行くのはどう? 船もあるし」
「海産物、美味しいっスよね」
カンダさん、キジマさん、ナグラさん、コタニさんの意見だ。
ギルドが2、海が2と分かれてしまった。
いや、まてよ? この国には冒険者ギルドは無いはず。
あるのは傭兵ギルドだ。
そうなると登録からやり直しじゃないか?
その事を2人に聞くと、その可能性はありますとの返事。
じゃあ、海に行くしかないな。決定!
翌日。って事で海に来ています。
さすがに船を出す所は見られたくないので、町から離れた所にあった入り江まで来たけど。
馬車はそのまま島に送り、出航。
今回は釣りをしようと思っている。
前回釣りをした時の竿やエサがまだあったからね。
トローリングじゃなく、垂らして釣る方だよ?
美味しい魚が釣れたら良いな。
釣り始めてから20分。
何故か大物がかかっております。
最初、カンダさんが5cmくらいのを釣ったんだ。
それをカンダさんはそのまま投げて、「大物を狙いますよ!」と言った。
すると20cmくらいのが釣れたんだ。本当に成功した。
成功に気が大きくなったのか、またそれをエサとして釣ると言い出したんだ。
さすがに無理だろと思ってたんだが……。
現在竿は大きくしなり、全然釣れる気配が無い。
糸が切れない事が驚きだが、今はカンキジコンビで竿を持っている。
コタニさんは操船しに操舵室へ。
魚の逃げる方向へ合わして船を動かしている。
俺とナグラさんは、出来る事が無いので応援してるだけ……。
さすがに困った。
どうしようかと悩んだが、1つだけ取れる方法があった。
そう、船の説明書だ。
銛でも撃てないかなと考えたんだよ。
そんな機能があっても不思議じゃない船だからね。
説明書をパラパラと見てると、最後のページに目次があった。
そこには漁業の欄が!
P.46だと?! 慌てて開くと、そこには釣りと網の2種類が載っていた。
釣りの方を見ると、大物が掛かった場合の対処が載っていた。
何々、船尾に設置してある緑のボタンを押すだと?
船尾に戻り、ナグラさんと緑のボタンを探す。
それは手すりの裏側に設置されていた。
ナグラさんがそれを押すと、舟の上に付いていたアンテナのような物から海に向けてビームが!
海水を蒸発させる事無く水中に入り、竿はしなるのを止めた。
魔法道具のリールを巻くと、マグロとサメを足して2で割ったような3mくらいの魚が上がった。
うわっ、脳天を一撃で倒してるよ……。
怖~! この船、怖~!!
で、気づいたら、船に囲まれてました。
何だ? この魚は取ってはダメだったのか?
「そこの船! 漁業の許可を取ってるのか?!」
そんな物が必要だったのか……。




