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宝物庫

「こっちだ」


そう言って王様は奥の部屋に案内してくれた。

どうやらさっきの場所は、先祖代々の物がある場所だそうだ。

最初に国を起こした王の遺品だったりするらしい。

確かに宝物だ。国の宝物庫に相応しい品物だ。

金銀財宝ばかり考えてた俺、恥ずかしい!


連れて行かれた部屋も、前の部屋と変わりが無かった。

ただ、よく見れば、タンスにシールが貼ってある。


「国が所持している魔法道具は、使用していない物は全てここにある。

 シールが貼ってあるのは判っただろう。それには属性が書いてある」

「これには『水』って貼ってありますね」

「そこには『水の魔法石』を使った魔法道具が収められている、という事だ」

「なるほど」


ぐるりと1周して、全部を見てきた。

水・氷・土・雷・風・空気・火・光・金・無、この10種類があった。


しかし、ここで1つ疑問が。


「あの~、質問しても良いですか?」

「いいぞ? 何だ?」

「何で宝物庫に魔法道具があるんですか?」

「どういう事?」


ナグラさんが俺の質問を疑問に思ったようだ。

逆に王様は、気づいたかって顔でこっちを見てる。

これは俺がナグラさんに説明しろって事だな。


「いや、魔法道具って誰かが開発するでしょ?

 まぁ、それを王様に献上するとしよう。当然1品物だから、その時点では宝物と言える。

 でも、作った人は売るつもりで作ってるから、いつかは販売されるよね?

 そうしたら、1品物では無くなるから宝物でも無くなるじゃん。

 なのに分類してまで残されてるって不思議じゃない?」

「う~ん、よく判らない……」


この説明で判らないのかよ!

しょうがないので、ナグラさんにだけ聞こえるように耳打ちする。


「アメリカの軍が開発した物はさ、軍事機密扱いだろ?

 でもナビみたいに民間に転用される物も多い。

 そうなったら、機密の必要は無くなるんじゃないか?って事」

「あぁ、なるほど!」


現代に置き換えて話したら納得出来たようだ。


「福田殿は鋭いな。確かに宝物庫に魔法道具がある必要性は無い。

 では何故あるのか。それはな、いわく付きの品だからだよ」

「いわく付き?!」


何だ? 霊でも取り付いてるとか、そんなのか?

あっ、カンダさん、コタニさんが逃げようとしてるから捕まえといて。


「別に、霊や魂とかの話ではないぞ?

 簡単に言えば、出回っては困る品物だからだ」

「困る、ですか?」

「そう。知っているかな? 魔法に禁忌魔法という物がある事を」


知ってます。って言うか、最近改造して使ってます。

他にもヤバいのを2つほど聞いてしまってます。使えませんが。


「それの魔法道具版だと思えば判りやすいだろう」

「じゃあヤバい物じゃないですか!」

「おっと、脅かしすぎたか。そんな物もあるが、実は大半は使えない物なんだよ」

「ヤバくて使えないんですか?」

「そうじゃない。使えれば便利なのだが、制御出来る人間が居ないというだけの事だ」


俺の飛翔の靴のような物か。

アレも確か、使えないからって売れ残ってたんだよね。


「つまり、そういう物を宝物庫に入れて管理していると」

「そういう事だ」

「で、それを俺に褒美として渡すんですね?」

「何も知らない人間は、宝物庫にあった魔法道具を貰ったってのは凄い褒美に聞こえるだろ?」

「実際はいわく付き商品大放出ですけどね……」

「適当に見繕えと言ったのはそっちだろう? 見繕ったのがここの品物なのだよ。

 問題は無いだろ?」


くっ! やはりこの王様は曲者だわ。

反論できない!

いい加減な事を言うんじゃなかった……。

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