裏技
結局何も他に思い浮かばなかったし、誰も要望が無かったので適当な事を言っておいた。
そう、何か魔法道具を見繕って頂戴って。
こう言っておけば、色々便利な物が貰えるだろ。
これで契約内容は出来た。
これを王様が誰かに清書させて持ってきた。
それをヒヨとキジマさんが確認して、間違いが無かったようなのでサインをした。
契約完了。
で、早速またダンジョンへ。
今度は間違えないぞ!
入って少し進み、入り口から見えない所に行ってからルシファーさんに連絡だ。
効率的な方法があるなら聞いておきたいからね。
「すみませ~ん」
「はいはい。今度はどうしたの?」
「え~と、このダンジョンを攻略する事になりまして。良いですよね?」
「かまわないよ~」
「で、ですね。攻略って、ダンジョンコアを取れば良いんですよね?」
「そうだよ~」
「他に方法ってあります?」
「他の方法ねぇ~。面倒なのなら1つあるけど」
「何ですか?」
「ダンジョンのアチコチに居る、中ボスを全部倒すんだ。
そうしたら、ラスボス前に移動出来るよ~」
「そんな方法があるんですね」
「裏技みたいなものだよ。
だってさ、100階まであるようなダンジョンを踏破するのは大変じゃない?
ショートカットくらい無いとダメでしょ」
「そうですね。ところでこのダンジョンは?」
「まだ成長してるから、121階まであるね。進む?」
121階?!
1階に20分として、2420分=40時間20分!
1日8時間進めるとして、5日もかかるじゃないか!
こりゃ裏技で行く方が楽かもしれない。
「このダンジョンの中ボスの場所って判りますか?」
「いや、判るけどさぁ。買ったばかりのゲームを、攻略本読みながらプレイするようなものだよ?
それで良いの?」
「良いんですよ。楽しむ為に攻略してるんじゃないんですから。
今回は依頼なんで、サクっと終わらせたいんです」
「まぁ、良いけどさ。
それにこっちとしても早く終わってもらった方が良いしね」
「何でです?」
「こらこら、元の任務を忘れない! 勇者が魔王を捕まえたら戻ってくるでしょ!
その時、ミノタウロスのダンジョンに案内するのは福田君の役目だよ!
ダンジョン攻略するまで待って下さいって言われても困るからね!」
そうだった。
完全にお任せにしてたので、すっかり忘れてたよ。
「じゃあ、攻略方法はメールで送るから。その通りに進んでね」
「判りました。ありがとうございます」
電話を切ったら、すぐにタブレットにメールが来た。
内容を見てみたが、凄く面倒臭い……。
こりゃ、本当に見ながら1つづつやって行かなきゃ。
スタート地点は2階だった。
2階の一番右奥の壁に秘密があるらしい。
1階はマップを見ながら速攻で突破して、2階へ進む。
そうそう、2階は碁盤の目の迷路だったね。
一番右奥に進むと、そこだけ壁の色が違った。
この壁を337拍子のリズムで叩くそうだ。
タタタン、タタタン、タタタタタタタン
すると、ガコンという音がして、壁が開き通路が出た!
マップにも載ってなかったのだが、通路が現れた瞬間から表示されるようになった。
こんな隠し通路があったのか。
マップで確認したところ、この先に部屋があり、そこに黒い点が1つだけある。
どうやらこれが中ボスのようだ。




