ブラック
その他の細々とした事までもビッチリと決めていってる。
それをキジマさんが書きとめてる。
うん、俺じゃこんな交渉は無理だわ。
任せて良かった。
攻略中の食料をアイテムボックスに入れて持っていくから出せ、とかまで決めてるんだよ?
しかもその食料の内容まで決めてる。
調理済みの物としてない物との配分まで!
優秀な護衛と従魔を持って幸せです。
「最後に成功報酬を決めるにゃ! ご主人様、希望はありますかにゃ?」
「ん? 何?」
「聞いててくださいにゃ! 大事な話ですにゃ!」
「ごめんごめん。で、何?」
「成功報酬ですにゃ!」
「あぁ。それは前に言ったので良いよ」
「待て、福田殿。それは1度ダンジョンに行ってもらった時の報酬だ。
今回は別の依頼なので他の物にしてもらいたい。
前回の報酬は既に用意してあるので、後で渡す」
「えっ? それで良かったのですが……」
「だめだ。1つの依頼で報酬は1つ。王として決めた事を覆すわけにはいかぬ」
「でも、前回の依頼の続きですよ?」
「危険な所に行ってもらったのに、続きだからと報酬をケチるようでは王失格だよ」
変な所で律儀だなぁ。
そんな事言われても、報酬なんか思いつかないわ。
どうしようかなぁ……。
あっ、そうだ。以前と同じで良いじゃないか。
「じゃあ、帝都に家を下さい」
「家?」
「ええ。知ってると思うので言いますが、俺は『コネクト』が使えます。
なので、いつでも来れるように拠点が欲しいのです」
「バレないように行き来するためだな?」
「そうです」
「では、税の免除も必要だな」
「あっ、そうですね。お願いします」
「うむ。判った」
「ご主人様、家の規模はどうするのにゃ?」
ナイスな意見だ!
王様の感覚で選ばれた家は、家ではない。屋敷になっちゃう!
そうだなぁ。泊まったりする事は無いと思うから、小さいので良いか。
「えっと、キッチン・トイレ・風呂・庭。後は部屋が3つあれば良いです。
出来れば帝都の出口に近い所が良いですね」
「はぁ?」
「えっ? 多すぎですか?」
「逆だ! そんなので良いのか?!」
「ええ」
「あぁ、部屋は10m四方とかだな?」
「いえいえ! そうですね、3m四方くらい?」
「狭っ!!」
4畳半って、これくらいだったよね?
特に置く物が無いから、それでも広いくらいだけど。
「そうですか? 庶民って、そんなものですよ?」
「……庭や風呂はどの程度を考えている?」
「庭は馬車が置ければ良いですかね。風呂は2m四方くらいじゃないですか?」
「……マジか」
「とにかく、そこら辺は庶民の人に聞いてみてください。
そうすれば判るはずですので」
「わ、判った。で、報酬なんだが……」
「……今、言いましたよね?」
「いや、安すぎるだろ?」
「十分ですよ?」
「いや、少なすぎる! 釣り合わないではないか!」
「え~、そう言われても。皆、何か欲しい物ある?」
皆に聞いてみたが、やはり誰も何も言わない。
女性陣は服とか言うかなと思って聞いてみたが、自分で買い物するから良いとの返事が。
だよなぁ。選ぶのも楽しいんだよね。
買う為の予算は十分に持ってるだろうし。
皆、給料を使う時が無いそうで、貯まるばかりなんだってさ。
衣食住の内、食住は揃ってるからな。武具も支給してるし。
だから、衣服にお金を使うんだろうけど。
……何か、こう考えてたら、ブラック企業みたいに思えてきた。
毎週、休みの日を作ろう……。




