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王の苦悩

昼前に城に戻る事が出来た。

鉄格子が閉じられていたので、叩いて兵士を呼ぶ。

まさかこんなに早く戻ってくるとは思ってなかったのだろう。慌てて兵士が飛んできた。

そのまま王様の私室に通される。


王様も慌ててやってきた。


「福田殿! もうお帰りとは! どうだった?!」

「謎は解けましたよ」

「おおっ! さすがだ!!」

「でも、問題がありまして帰ってきました」

「問題? 何があった? 強いモンスターでも居たか?」

「そんな簡単な問題じゃないんですよ。実は……」


俺は王様にダンジョンの仕組みを説明した。

それを聞いた王様は苦悩の顔になった。


「それが事実ならどうしようも無いではないか……」

「事実なんですよ。ところで、何でここに帝都を作ったんです?」

「あのダンジョンは正式には『武具のダンジョン』と呼ぶのだ。

 つまりモンスターを倒すと、良い武具が入手出来る。それを王家が独占する為に城を上に建てた。

 近年はダンジョンが攻略しにくくなったので武具を取りに行ってないが」


なるほどね。

鉱物を入手して鍛冶に加工させて始めて武具になる。

その過程も無く武具を入手出来るのなら、強い国になるだろう。

そりゃ王家で独占しようとするよな。


そして、魔力を与え続けた事でダンジョンが強くなった。

武具を取りに行く事も難しいくらいに。

あれっ? 他国を攻めなくなったのって、これが原因じゃね?


「理由は判りました。

 で、どうします? 方法は3通りしかありませんけど」

「3通りか。どういうものかな?」

「1、魔力を吸われるのは諦める。

 2、ダンジョンコアを破壊し、ダンジョンを無くす。

 3、遷都する。

 この3通りですね」

「ううむ……。どれも選びがたいな。難しい問題だ」

「だと思います」

「少し考えさせてくれ。他の者とも協議せねばならん。時間をくれ」

「いいですよ。じゃあ、町に居るので、決まったら教えてください」

「待て待て。城に滞在すれば良いではないか!」

「決まるのに少なくとも2~3日はかかりますよね?

 その間、城にずっと居てもしょうがないじゃないですか。町を探索してますよ」

「そ、そうか。そうだな。では、こちらで宿を手配する。そこに泊まってくれ」

「ありがとうございます」

「どうせ、また城には来るのだから、馬車は置いていけ。馬の面倒は責任を持って城で管理する」


こうして俺達は城を後にし、町の宿屋に宿泊する事になった。

指定された宿屋は……宿屋と呼んで良いのだろうか?

はっきり言って、高級ホテルです。

カジノの町のサガワさんのホテルと変わらない。いや、こっちの方が豪華だ。

間違い無く、要職の人が泊まるホテルだろ。


しかも部屋はスイート。

買い食いして回ろうとか考えてる人間が泊まる部屋ではないな。

替えてもらいたいが、きっと無理だろう。国や王の威信とかあると思うし。


城にも一番近いので、町に出るのも一苦労だ。

しかも町に出る時は、私服の兵士がついて来る。

これ、護衛って言うより、逃がさない為じゃないか?

庶民の郷土料理とかが食べたいんだけどなぁ……。


しょうがない。私服兵士を上手い事使おうじゃないか。

そう、案内してもらうのだ。

さしあたって、魔法道具屋にでも連れて行ってもらおう。

皆が飛翔の靴を羨ましがってたからね。

作れるような職人さんでも居たら良いな。

どこで作られた物か、聞いておけば良かった。

まぁ、在庫だったので、不明かもしれないけど。

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