ダンジョンの秘密
翌日。
4階からスタート。
この階からは下を目指すのではなく、探索が必要だ。
魔力を吸収している原因を探らないといけない。
物が吸収しているのか、そういう仕組みがあるのか、モンスターが吸収してるのか、全く不明。
しまったな。仏様が出た時に聞けば良かった。
バカな会話ですっかり頭から抜け落ちてたよ。
まてよ。それならイイクラさんでも判るかもしれない。
連絡してみるか。
「イイクラさんですか? 福田です」
「ルーシーで~す!」
「あれっ? イイクラさんは?」
「多分もう大丈夫だろうって事で、閻魔様が通常業務に戻したよ。
私だけ連絡があるだろうって事でここに残ってるんだ」
「そうでしたか」
「で、何の用かな? 何か進展があった?」
「いえ、多分ですが、勇者の方は順調だと思います。
関係無いんですが、今グランザム帝国の帝都にあるダンジョンに居まして」
「ふむふむ」
「何か、ここのダンジョンが魔力を吸収するらしいんですよ。それの原因究明の為に居るんですが。
その謎の答えを知ってますか?」
「そういう事ね……」
俺の話を聞いたルシファーさんは、何かを考えてるようだ。
結構な問題なのだろうか?
「ううむ……ま、いいか!」
「何か?」
「いや、そんなに難しい問題じゃないんだよ」
「そうなのですか?」
「うん。ただ、これを聞いたら困るだろうなと思っただけ」
「え~、困るんですか?」
「うん。まぁ聞かないと判らないだろうから喋るけどね」
簡単な答えだけど、聞けば困る内容。
どんな事だろうか?
ムチャクチャ強いモンスターが居るとかかな?
「教えてください」
「いいよ~。答えは『ダンジョンの仕組み』だよ」
「仕組み? どういう事です?」
「ダンジョンだって、何も無い所からモンスターや仕掛けを作れる訳じゃないんだ。
魔力を使用して運用してるんだよ。
大森林の近くにはダンジョンが多いんだけど、アレは大森林の魔力を吸収しているんだ。
そのお陰で大森林が大きくなるのを食い止めている」
「なるほど! 大森林の侵食を止めると同時に、食糧補給にもなってるんですね!」
「そういう事さ。さて、そうなるとグランザムのダンジョンの事は判るね?」
吸われて困るって話だけど、元々ダンジョンってそういう物だからどうしようも無いって事か!
解決策としては、ダンジョンコアを壊してダンジョンを潰すか、遷都するかしかない。
うわっ、本当に簡単な答えだけど、困る内容だ!
「ちなみに吸収する魔力が多いほどダンジョンは活発化するよ。
意図的に魔力を集めて与えてる状態だから、結構エゲつないダンジョンになってるんじゃない?」
「はい、その通りです……」
「やっぱりね~。何でそんな所に作ったんだろうね?」
「さあ? それは聞いてません。どうしましょう?」
「それは私に聞かれても困るよ? 人間達で解決してもらわないと」
「そうですよね……」
「ま、少しは協力はするから、決まったら教えてね」
「判りました」
こりゃ、俺の一存では決められないわ。
帰って王様と相談しなきゃね。
って事で、来た道を引き返す。
ダンジョンに降りる前に聞けば良かった……。
何か、最近、バカになってる気がするわ……。




