お城へGO!
「いやぁ、グランザムの王都って良いね! 美味い物多くて!」
「そうっスね。所で福田さん」
「何?」
「グランザムは帝国なので、王都じゃなくて帝都だと思うっス」
……本当だ! うわっ! 恥ずかしい!!
全然気づかなかったよ。気をつけよう。
一通り見て回ったので、一旦宿に戻る。
すると、入り口に兵士が2人立っていた。
何事だろうか? ケンカでもあったのかな?
中に入ると、そこにも兵士が2人。
問題があったなら宿を替えるか?
なんて考えてたら店主が俺の所へやってきた。
「福田さん、で合ってますよね?」
「ええ。台帳にもそう書きましたよね?」
「ニーベル国の福田さんですか?」
「そうですけど……何で知ってるんですか?」
そう質問したけど、返事が返ってくる前に兵士の1人がやってきた。
「福田様ですね。王がお呼びですので、同行をお願い出来ますか?」
「あっ、はい。王に会う為に来たのでそれは良いですけど……。早いですね?」
「はい。全ての宿に『福田という者が来たら知らせるように』と通達が出されていますので」
そういう事か!
って事は、ここにいる兵士達は俺の迎えなのか!
ケンカとかじゃなかった!
宿を替えるかとか考えてごめんなさい!
それにしても、どれだけ早く呼びたいんだよ。
明日にでも行くつもりだったのに、既に手配済みとは。
「えっと、仲間はどうしたら良いです?」
「一緒で構いませんよ。馬車も城の方に移動しましょう」
「あの、宿の方は……?」
「城から1泊分のお金を払うので大丈夫ですよ」
そうなのか。
店主は知ってるのか、何も心配してないようだ。
なかなか政治がちゃんとしてるな。
イメージでは戦争好きで圧政してる感じだったけど、そんな事無さそうだ。
俺だけ兵士達が用意した馬車に乗り、皆は俺の馬車で後ろをついてきてる。
そのまま城に入った。
外からは判らなかったが、城壁の中は1本道。
山を回るようにして上に登っていくようになっている。螺旋階段みたいだ。
これなら城にたどり着くまでに、敵はかなり減るだろうな。
途中にも門が3箇所あった。
昔の日本のお城みたいだね。
二の丸とか三の丸とか言われるやつだ。
開門に時間がかかれば、その間に魔法で攻撃されるだろう。
かなり攻めにくい城だ。
って、別に攻めるつもりじゃないからどうでも良いんだが。
それにもし攻めるなら、近衛アリを使って真下から掘り進むので関係無い。
海から船で艦砲射撃って手もあるし。確か波○砲みたいなのが付いていたはず……。
城門をくぐってから、30分もかかってようやく城に到着した。
防衛の為ってのは判るけどさ、臨時の近道くらい作ったらどうなの?
今日はこのまま城で1泊して、明日の朝に王と謁見するそうだ。
それなら別に町の宿屋でも良かったんじゃないかなと思うのだが。
まぁ、タダだから良いけど。
老年の執事さんが俺達に付いたので、要望を出しておいた。
通ったら良いなくらいのね。
1.過度な歓待はしないで欲しい。
パーティーとかされても作法が判らないし。
2.食事は自由にさせて欲しい。
これも上と同じ。食事のマナーとか判らない。
お偉いさんと一緒に食べても味が判らないだろ。
3.1人1部屋じゃなくて良い。
こんな所でバラバラにされたら不安だ。いつでも帰れるように1部屋でも良いくらいだ。
何と全ての要望が通ってしまった。
という事で、食事は兵と一緒に食堂で食べる事に。
こっちの方が気楽だし、メニューから選べるのでありがたい。




