謎解きは夕飯の前に
その日の夕方前にチョロが帰ってきた。
朝に出発したので片道3時間半か?!
しかも空だから一直線だろ?! どこが近くだよ!!
チョロの話は、俺達にとって納得の出来る物だった。
あのハーピーは、ラース森林から飛んできたのだ。
そう、ラース森林。
つまりは魔王城である。
それだけで全ての謎が解けた。
魔王城はダンジョンだ。
だが、勝手に作ったダンジョンなので、ダンジョンの制約に則ってない。
という事は、モンスターは配置出来ても、飲まず食わずでもOKでは無いのだ。
この辺りの事は、前にルシファーさん達に聞いていた。
モンスターが1匹も居ないダンジョンでは、あっけなく勇者に突破されてしまう。
それでは面白くないので、モンスターは必要。
でもモンスターに飲み物や食べ物を与えなくてはならない。
何かを作る権限は、既に他の神様にバレているので剥奪されている。
飲み物は水で良いだろうが、食料はどうする?
そう、周辺から集めれば良い。
あの単純バカな偽神の事だ。こんな考えに至ったのだろう。
しかも聖王国ダヒュテムでそれを行えば、「魔王討伐だ!」「勇者様バンザイ!」とヤル気も起きる。
正に一石二鳥。
だが、使ったモンスターが悪かった。
襲う国を忘れて、違う場所を襲ったのだ。
これが公になれば、聖王国だけの問題じゃなくなる。
各国から討伐隊が出るだろう。
そして、魔王城には勇者以外が来る事に……。
ま、偽神の苦悩は放っておこう。
そうなるか判らないし、どうせ近い内に勇者君に討伐されるのだから。
問題は、どうやって今後この村を守るかだ。
チョロが帰ってくるまでに、従魔の皆とハーピーについて話し合いをしておいた。
チョロの情報と合わせて、一番簡単な解決策を取る事にした。
まず、畑には大きな看板を用意する。
それに星を書くのだ。
何故かハーピーは星のマークが嫌いらしく、近寄らないらしい。
日本の畑にある、デカい目みたいな風船のようなものか。
そして、少し離れた所に、森の方に向けて小さい看板を設置。
こちらにはひらがなだけでメッセージを書くのだ。
ハーピーはひらがなだけは読めるそうなので。
それには『こちらは森の反対側です。By主人』と書いておく。あっ、ひらがなだからね。
その看板には何でも良いので、キラキラ光る物をつけておく。
好きなんだってさ、光り物。
光り物で誘導して看板を読ませるって事。
バカだからすぐに納得するだろう、とはトムさんの話だ。
カラス並みなのかな?
これで依頼は終了。
一応、もう被害が出ないかを確認する為に村には残る。
そして被害が無いなら、ダンジョンに行くのだ!!
昆布が俺を呼んでるぜ!!
家に帰ると、ヒタキさんが待っていた。
あっ、ヤベ! 明日持って帰るって昨日言ったっけ!
「すみません……忘れてました。
明日行く事にしてるので! 明日! 必ず!」
「……判りました。では明日。……約束を守る事は大事ですよ?」
「すみませ~ん!」
従業員に怒られる主人。
まぁ、こういう関係の方が正しいとは思う。




