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勝負の行方

「このゲームはチップ1枚1万円だ! 文句はねぇな?」

「無いよ。時間が無いからさっさとやろうか」

「ケッ! 偉そうに出来るのも今の内だぜ!」


そう言ってカードの山から1枚抜いていく。

俺は『ジョーカー出ろ!』と祈りながら、一番上のカードを取る。

これでジョーカーが出ないなら、インチキをしているか俺よりも強運なプレイヤーが居るかだ。


なんて考えてたら、やはりジョーカーでした。


「チッ! 運のいいヤツだ。オラ、さっさとシャッフルしな!

 インチキが出来ないように、テーブルの上でゴチャゴチャにしてもらおうか!」


あ~、手で切るのは4枚ごとに強いカードを入れる可能性があるからダメだと。

つまりウォッシュシャッフルって事ね。

偉そうに言うなら専門用語ぐらい覚えとけよなぁ……。

ま、いきなりウォッシュシャッフルしろって言われたら「えっ?」って俺も言うかもしれないけど(笑)


シャッフルし終えたカードをテーブルの真ん中に置く。


「お前がカードを操作してない保証として、一番上のカードは除くぞ。

 どうせ1枚余るんだ。問題ないだろ?」

「あぁ、問題無いよ。じゃあ1枚取るよ」


なるほど。たしかに52枚+ジョーカーだから1枚余る。

普通は最後に1枚残るのだが、それを最初に分けておいても問題は無い。

インチキして上に強いカードを持ってきていれば抑止にもなる、と。


一番上のカードを伏せた状態で降ろし、ゲームスタートだ。


俺が親なので、最初にカードを取る。それから時計回りでカードを取っていく。

さっきから偉そうにしてるヤツは対面に座っている。

左右の人間が俺とソイツのカードを見比べるには都合が良い場所だ。

特にソイツのカードを見る時に顔ごとソッチを見れば、コッチからは顔が見えなくなる。

顔で何か合図を出せば、俺には判らないという事だ。

コイツら、インチキに慣れてやがる……。


もう、1回も勝たせてやらない事に決定したぜ!

俺は『この勝負が終わるまで、この3人よりも1だけ強いカードを俺に下さい!!』と心の中で祈る。

これで準備OKのハズ。親決めの時に俺よりも強運なプレイヤーはいない事が判明しているので安心だ。


全員がチップを1枚、場に出した。

俺の合図で全員がおでこにカードを当てた。俺はタイマーのスイッチを入れる。

俺の左のヤツから順に、3・7・6のカードだ。予定では俺は8のハズ。

左右のヤツが俺を見てから対面のヤツの方を向いている。


対面のヤツは俺を見てニヤリと笑った。

負けているが、8という中途半端な数字を俺が引いてるからウワサほどじゃないと思ってるのだろう。

そして笑う事で、自分の方が強いとブラフをしているんだろうな。


案の定、ソイツはチップを10枚上乗せしてきた。

ここでビビらせておこうという考えか。

俺は、少し悩んだフリをしながら、ソイツと同じだけチップを出す。

左の3のカードのヤツは降りた。右の6のヤツは俺のカードをもう一度見てから同じだけチップを出した。

2人で共謀して『お前は6・7よりも低い数字だぞ』と言いたいんだろう。


「どうする? これで勝負するか? 上乗せするか? それとも弱気になって降りるか?」


おうおう、わざわざ挑発までしてきたよ。

もっと上乗せさせて降りさせようと考えてるのだろうな。

俺はチラチラと二人のカードをわざと見比べてから、持ち金全て分の残り4枚を追加した。


対面のヤツはニヤリとまた笑い、1枚多い5枚を追加してきた。右のヤツも同じだ。


ちなみに持っているチップの枚数は、他人にはバレないようにしている。

この店はソコは自由のようだからね。見せびらかして威圧するも良し、隠して疑心暗鬼にさせるも良し。

俺は後者を選んでる。対面のヤツは前者を選んでいて、テーブルに200枚も置いている。

という事で、俺が全額賭けてる事を3人は知らないのだ。

初回で全額賭けてくるなら対抗して上乗せする必要は無い。

上乗せするだけ無駄だからだ。降りる気は無いと宣言したのと同じだから。


「どうする? これで勝負するか? 上乗せするか? それとも弱気になって降りるか?」

「勝負だ。お前達はいいのか?」

「いいぜ」「問題ない」


また同じ事を聞いてきたので、逆に聞いてやった。

俺を降ろさせる為に追加してくれれば美味しかったのだが。もう少し悩むフリをすれば良かったかな?


丁度ベルが鳴ったので、時間切れとなった。

もう降りる事も上乗せも出来ない。

チラッと対面を見ると、ポーカーフェイスをしているが少し悔しそうに見える。

おでこのカードを俺の合図で一斉にテーブルに出す。

想像通り俺のカードは8で、俺の勝ちになった。


「ふん、なかなかヤるじゃねぇか。だが、その強気がどこまで通用するかねぇ。ヘッヘッヘッ」


最後まで通用するに決まってるじゃないか。

そう思いながら、俺は場に出てるチップを引き寄せた。

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