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冬と言えば…

その日の晩飯も鍋だった。

しかし、驚きのおでんだったのだ!

海から遠いのに、昆布出汁とは本当に驚きだ!

しかもこれが郷土料理?

どうなってるんだ?


「この鍋は美味しいですね。昨日の鍋も美味しかったですが、俺はこっちの方が好きですね」

「そうですか。昼から煮込んでますので、よく味が染みていると思います」

「特に大根が絶品ですね! ところで、これは昆布が出汁だと思うのですが……」

「気づきましたか……」


すみませんね。元日本人なもんで。

昆布なのか鰹節なのかは区別がつきますよ。

ブイヤベースとか出されたら無理ですけど。


「ここは海から遠いですよね? 何で昆布を使った料理が郷土料理なんです?」

「福田さんは他の国の人でしたね。なのでお話しますが、内緒にしてもらえますか?」

「はい。大丈夫ですよ」

「では。……実はこの村の近くにはダンジョンがあるのです。

 この国のダンジョンの扱いはご存知ですか?」

「知ってます。ダンジョンに頼らないように農業を推奨してるのだとか」

「そうです。しかしダンジョンは手に入らない物も出ます。

 それを求めて、昔からこっそりとダンジョンに行っているのです」

「それで昆布も入手されてるんですね?」

「そうです。洞窟の2階に居る、星型をしたモンスターを倒すと入手出来るのです。

 レベルも10と弱く、子供が遊びがてらに取ってくるのです」


星型のモンスターか。ヒトデかな?

この村を離れる前に、俺も寄っていこうかな?


「そのダンジョンに俺達も行って良いですか?」

「良いですが、バレないようにお願いしますよ?」

「バレるとは?」

「たまにですが、国の兵士が巡回してくるのです」

「なるほど。ん? 今回の事を、その兵士に頼んだら良かったのでは?」

「国に頼んでも解決まで時間が掛かりますし、ダンジョンの事もあって長く兵に居て欲しくないのですよ」


だから流れ者の冒険者(傭兵)を雇ったのか。納得だ。

ダンジョンに行く時は、運を使って巡回が来ないようにしておこう。

それにしても、どこの世界もお役所仕事は時間が掛かるんだな。


おでんを皆で堪能した後は、王都の家に帰った。

何で王都かと言うと、ヒタキさんにおでんを覚えてもらおうと思ったからだ。

作り方は紙に書いてもらったし、出汁を少し貰ってきた。

これらがあれば、ヒタキさんなら再現してくれるだろうと考えた。


「福田様、これはなかなか良いですね」

「でしょう?! 俺、好きなんですよ」

「では明日から再現してみましょう。

 ところでここにある昆布というのは、どのような物ですか?」


あっ! すっかり忘れていた。

ここニーベル国には海が無いのだ!

昆布も流通してなくて当たり前。

もしかしたら輸入されているかもしれないが、海から遠いので高いんじゃないだろうか?


「忘れてました。明日にでも持ってきます」

「判りました。よろしくお願いします」


これは犯人探しよりも重要な案件だな。

それに、昆布が出るようなダンジョンだ。

鰹節みたいな、他の出汁の元が入手出来るかもしれない!

楽しみになってきたぞ!



翌日、朝飯を食べてから村に行く。

村長さんと一緒に畑を巡回すると、罠を仕掛けた畑の一つから近衛アリが出て来た。

村長さんはビックリしてるが、俺の従魔ですよと説明しておいた。


「ご主人様、昨日の夜に進入してきたモノが罠にかかりましたので捕縛しました」

「ご苦労さん。じゃあ案内して」


そう言って土壁を解除する。

すると畑の真ん中に動けなくなってる鳥が居た。

よく見れば釣り糸で包まれている。


ん? 鳥かと思ったけど、顔は人間っぽいな。

これって、ハーピーとか言われてるやつじゃない?

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