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罠を仕掛けます

俺の要求を聞いて、村長は怪しんでいる。

そりゃそうだ。俺も自覚はある。怪しい要求だ。

金額を増やすならよくあるが、減らした上に郷土料理が食いたい、だもんな。


「な、何故、そのような報酬で良いのですか?」

「いや、疑うのは判りますよ。実際怪しいですしね。

 簡単に言えば、自分で言うのもアレですが、私は金持ちなのですよ。

 今更お金は必要無いんです。それよりも採れたての野菜や果物を貰える方が嬉しいですね」

「食事もその一つという事ですか?」

「そうです。あっ! だからといって、依頼の期間を延ばしたりしませんよ?

 そうですね……2日で捕まえます。なので、2日分の食事をお願いします」

「2日で?! 本当に大丈夫ですか?」

「ええ。もう大体の見当はついていますしね。

 それに2日で捕まえられなかった場合は、食事代を払いますし、一切何も貰いません。

 そのお金で他の冒険者、いや傭兵を雇えば良いでしょ?」

「な、なるほど……。で、ではお願い出来ますか?」

「判りました」


俺は馬車に戻り、皆に説明する。

報酬の話をしたら、喜んでくれた。

しかし、おかしいな。誰も「お人よしなんだから」とか言ってくれない。

俺の善意で受けたんだぞー、と言ったら「ウソつけ」と言われた……。


「ところでさ、目星はついてるんでしょ?」

「ん? いや、全然?」

「だってそういう話だったっスよね?」

「あぁ、適当にそう言っただけ」

「では、何で2日なんです?」

「1日目は、魔法であちこちに罠を仕掛けようと思ってる。

 これに引っかかればすぐに解決だよ」

「引っかからない場合は?」

「その場合は、力づくかな」

「あぁ、いつものパターンですね」

「そういう事」


1日目は罠を仕掛ける。

これは村人にはウソの情報を与えるつもりだ。

例えばA~Eまで畑があるとして、A~Cに罠を仕掛けたと発表するのだ。

実際には全てに罠を仕掛けておく予定。これでDかEの罠に掛かれば、共犯者が村の中に居ると判る。

勿論、獣の場合、どれかに引っかかるだろ。


2日目。これは罠に掛からないにも係わらず、畑が荒らされた場合だ。

名探偵が出るようなマンガなら推理で追い込んでいく日となる。

俺? 当然運を使って犯人を捕まえますよ?

推理? そんなのは体が子供な高校生に任せておけ。

きっとサッカーボールでも蹴って犯人にぶつけてくれるさ。

今思ったが、体は子供って言ってもさ、高校生って子供だよね。



という事で、早速罠を仕掛ける為にアチコチの畑を歩いています。

仕掛ける罠は、当然ピットフォール。

これ、見た目が変わらないから落とし穴って気づかないんだよね。

アースウォールを使って土壁を作る事も忘れない。

これで落とし穴に誘導出来るって訳だ。

で、土壁を作らなかった所には、罠は仕掛けてないと村人には伝えた。


本当にここには罠は無い。

ただし、シロに頼んで近衛アリを配置してある。

俺達以外が近づいたら捕縛するように話してあるのだ。

ちなみに村長には、2日間は畑に誰も行かないようにと伝えてある。

それを無視して近づいてくるヤツはバカか犯人だけだ。


ここまでやったら、丁度夕方になった。

晩飯は村長の家で郷土料理を頂く事になっている。

グランザムの農村の郷土料理だ。どんなのだろうか?


はい。鍋でした。

味噌ベースの鍋で、肉と野菜がたっぷり。

肉は多分だけど、イノシシじゃないかな? それ以外なら、食べた事が無いから判らない。

豚に似てるので、多分合ってると思うんだが。

まぁ、美味いから何でも良いんだけどさ。

それにしても、今思えば、虫とか入ってなくて良かったよ……。

そういう可能性もあったよね~。


晩飯も食べたので、もう馬車に戻って寝るだけ。

と言っても家に帰るんだけどさ。

結果は明日判るだろ。獣だったら良いよね。食材が増える。

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