インチキの代償
次の勝負は俺が名前を言う番。
これといって思いつかないので『アサイ』と言ってみた。
まさかあのダメ女が映る事は無いだろうが。
ケルベロスは男と言ったので、自動的に俺は女という事になる。
鏡に映ったのは高校生くらいの年の女の子だったので、俺の勝ちだ。
この子はアサイっていうのか……なんだろう、同情しちゃうな。可哀想に。
5戦した結果、当然だが全勝だった。
だがこの結果にケルベロスは納得出来ないようで。
「おかしいおかしいおかしい!! 何で全敗なのさ!!」
「それがギャンブルだろ?」
「そんなハズが無い!!」
はっはっは、語るに落ちるとは正にこの事だ。
ギャンブルに必勝は無い。あるとすれば、それはインチキだ。
「ほほう。全敗するハズが無いと。それはインチキを公言したと同じだね」
「ち、違うわ? 5回やって全敗ってのがおかしいってだけで……」
「そうか? 確率の問題だろ?
例えばサイコロ。1が出る確率は1/6だけど、6回振ったからって1が出るとは限らない。
何故かと言うと常に1/6だからだ。偏りが出ても不思議じゃない。
ただ、10回程度では出ないかもしれないが、1000回も振れば1が出る確率は1/6に近くなってる。
今回の場合、男女なので確率は1/2だけど、2回で男女が出る訳じゃない。
沢山やれば男女の比率が1/2に近くなるだけだ。違うか?」
「ぐっ! そ、そうだけど……」
まぁ正確に言えば、この世界での男女比率に近くなるだけなのだが。
男の方が多いなら1/2にはならない。
ま、そこは問題じゃないんだよ。
「さて、確率を言っても納得しないという事は、何か秘密があると考えても良いよな?
ギャンブルでの秘密。つまりはインチキだ。
やはり何らかの方法で、鏡は男女を映すようになってるだろ?
もしくは映すのが男か女かが判るようになっている」
「そ、そんな事はないわよ……」
「ふ~ん。まだ言い訳をするのか。
じゃあ5回と言ってたが100回くらいやろうじゃないか。
その代わり、鏡を使うのは俺の仲間が担当だ。
そして、鏡を持ってない仲間が周りを取り囲み、俺達からは見えないようにしてもらう。
勿論、鏡に異変が無いか注視してもらうぞ。どうだ?」
「そ、そんなの認めないわよ!」
「何で? インチキが無いのなら認めても良いだろ?」
「イ、インチキは、してないけど……でも……」
「じゃあ問題無いな。とりあえずじゃあ、もう5回ほど俺が言った方法でやろうじゃないか」
「え~……」
「そうそう、最初に言ってたよね。『インチキしたら頭からバリバリ食べる』って。
もしそっちがインチキしてたなら、どうしようかな~~?」
「えっ?!」
「インチキしてないんでしょ? じゃあ何に決めても問題無いよね?」
「そ、そうですわね……」
「ムチャクチャ過酷なのが良いよな~。
そうだ! ドラゴンと戦闘ってのはどうかな? 瀕死になったら無理矢理回復させてまた戦闘。
これを10回繰り返すってのは?」
ほぼ拷問だよな。
でも、インチキしなければ問題無い。しなければ、ね。
「無理無理! 死んじゃうって!!」
「ついでにミノタウロスとケンタウロスも呼ぼうか!」
「……あの~、気軽に呼ぶって言ってますけど、知り合いですか?」
「うん。知ってるよ。ドラゴンのタロー・ミノタウロスのジロー・ケンタウロスのトム。皆知り合い」
「すみませんでしたー!! 許してください!!」
「ん? 何を許すのかな?」
「インチキしてました! 許してくださーい!!」
やっぱりそうだったか。
まぁ、それでも勝ってたから問題は無いんだけどさ。
それでも罰は必要だよね。
「やっぱりインチキには罰が必要だよね?」
「瀕死回復×10は勘弁!!」
「ん~、じゃあこうしよう。俺の従魔になれ!!」
「何でもしまーす! ……へ?」
やったぜ! 犬ゲット!
首が2つあるけどな。




