宝石
何で俺はダンジョン内で麻雀をしているのだろうか?
こんな所でする事じゃないと思うのだが。
「何でダンジョンに麻雀を持ち込んでるんだよ!」
「修行の為だ」
「何の修行になるんだよ!」
「ふっ。知りたければ俺達に勝つ事だな」
あぁそうかい。
じゃあ圧勝してやるよ。運を使ってな!
って事で、親になり天和を連発して勝ってやった。
1回もツモらせずに終わるってのは悲しいだろ?
「さあ、教えてもらおうか!」
「お、俺の修行は何だったのだ……」
「意味無いんじゃないの? それよりも教えろよ」
「……約束だからな。しょうがない。教えよう。
このダンジョンの17階にはギャンブル好きのモンスターが居るのだ。
そのモンスターがやたらと強くてな。グランザムではそいつに勝てると1流と認められるのだ!」
つまりモンスターと麻雀をする為にダンジョンに来ていたと。
判った、こいつはアホだ。
「そいつに勝つと倒さなくてもドロップ品がもらえるのだ。
ちなみに、ノーマルドロップはルビー、レアドロップだとダイヤモンドだ」
「へ~」
どうでも良い情報だな。
スルーしてアダマンタイトとかを取りに行こう。
ん? どうした女性陣。目の色が違うぞ?
はっ! どこの世界でも女性は宝石に目が無いのか?!
これは聞いてはいけない事を聞いてしまったか?!
彼らと別れた後、俺達は17階に到着。
そのまま階段に向かおうとしたが、当然のようにマップの黒い点に向かおうとする女性陣。
まぁ良いか。宝石も素材の一つだしね。あって困る物では無い。
いざとなったら換金も出来るし。持っておいて損は無いだろう。
彼らに聞いた情報では、それは美人の女性の姿をしているらしい。
うん、目の前に居るね。
確かに美人だし、扇情的な服装をしている。
……あいつら脱衣麻雀がしたかったんじゃないか?
そいつと目が合うと話しかけられた。話すんだ……。
「ギャンブルする? それともバトルする?」
「ちなみに、レベルとか教えてもらえるんですか?」
「私の? 良いわよ? 私はレベル75よ」
75か~。俺達よりもちょい上だな。
一番高いナグラさんでも72だもん。
ま、何とかなるだろ。
「じゃあバトルで」
「あら、珍しい。ここに来る人でバトルを選ぶ人は初めてよ」
「そうですか」
「じゃあ戦いましょうか」
女性は見る間に姿を変えた。
あっ、知ってる。この頭が2つある犬、ケルベロスってやつだろ?
ヤベえ、最大のピンチだ!
犬を相手になんか戦えない!!
「犬なら犬って言ってくださいよ! 犬とは戦えません!!」
「私、犬じゃなくて狼なんですけど……」
「犬です! 無理です! 戦えません!」
「じゃあどうする? 逃げるのは無しよ?」
「じゃあギャンブルで!」
「変わった人ねぇ」
そういうと、ケルベロスはまた人型に戻った。
「じゃあ何で勝負するの? 私は何でも良いわよ?」
「トランプしか持ってないので、トランプでお願いします」
あっ、どうでも良いけど、今閃いた。
ケルベロスって頭が2つあるじゃんか。だからギャンブルが強いんじゃないか?
本当にどうでも良い事だけど。




